【七飯】社会福祉法人「聖樹の杜(もり)」(秋田広樹理事長)が運営する多機能型事業所「eワークフォレスト」(鳴川3)は、読み終わった本を障害者就労支援施設で再生し、ネット通販する活動「ジョブボン」を行っている。1月に開始してから今までに、ネット通販大手Amazonで250冊以上を販売し、好評を得ている。

 ジョブボンは、仕事を意味する英語の「ジョブ」と「本」を組み合わせた造語。一般社団法人「ワーキングバリアフリー」(東京)が2018年に活動を始めると、首都圏を中心に広がり、現在は全国約60カ所の障害者就労支援施設が参加している。

 昨年11月に開所した同事業所には現在、20~50代の8人が通う。衣類に刺しゅう、プリントを施す商品や、リサイクル商品などを手がけており、SDGsの観点からジョブボンも業務として取り入れた。

 寄付などで本を集めており、本の裏にバーコードがあれば、絵本や漫画、雑誌なども可能。利用者がバーコードリーダーを使って売れやすい本を選別し、クリーニングしてAmazonに出品。注文が入ると、出荷作業までを行う。同事業所では、利用者に合わせて、写真や動画などで作業行程を説明。それぞれが適した作業に取り組める環境を整えている。

 毎日本の注文が入り、多い日は10冊以上が売れることも。収益は利用者の工賃になり、Amazonで購入した人からのレビューも利用者の励みになっているという。

 同法人の秋田広樹理事長は「いい事業だと思って始めると、予想以上に注文があってびっくり。私自身も、思い切って本を寄付するきっかけになった」という。同事業所管理者の加藤大和さんは「自分で売りに行く手間を感じたり、捨てることに抵抗がある人も、活動への貢献になるので、本を気持ちよく手放せるのでは」とする。

 今後、同事業所では1日5冊の販売を目標に活動を続ける。個人や企業からの本の寄付は、随時受け付けており、1冊から持ち込み可能。冊数などによっては引き取りに出向く。販売できない本は資源回収に出している。

 現在、道内でジョブボンを行っているのは、同事業所のみ。加藤さんは「この活動を他の事業所や関係者にも知ってもらいたい。道内でもジョブボンを行う事業所が増えれば」と呼びかける。

 本の寄付についての問い合わせは同事業所、電話0138・76・1412へ。

本の仕分け作業について説明する管理者の加藤さん

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利用者は、焼けた本の天地や小口を紙やすりで磨き、シールをはがすなど丁寧にクリーニングする

2024年7月10日 12:45北海道新聞どうしん電子版より転載