【幌加内】4年前に倒壊し昨年から再建工事が行われてきた、戦時中の朝鮮半島出身犠牲者の歴史を伝える「笹(ささ)の墓標展示館」(上川管内幌加内町朱鞠内)の上棟式が7日、行われた。

 同館は、朝鮮半島出身者が戦前や戦中に道内の工事現場などに動員され、過酷な労働で犠牲になった歴史を残すため、1995年に旧光顕寺を展示館にして開館した。旧深名線や幌加内町の雨竜ダムの建設工事で亡くなった労働者の遺品を展示し、日韓の学生らが交流する場となってきたが、2020年1月に雪の重みなどで倒壊した。

 同館を管理していたNPO法人「東アジア市民ネットワーク」の殿平善彦代表(深川)らの実行委が再建資金を募り、国内外から約5400万円を集めた。新館は鉄骨造り平屋で床面積は約140平方メートル。約50平方メートルの展示室を設ける。9月に完成予定。

 上棟式には、実行委や支援者、細川雅弘幌加内町長ら約20人が出席した。殿平代表は、日韓の若者らが労働者の遺骨を共同で発掘した経緯などに触れ「若い人たちがつながっていく大事な場をもう一度つくりたいという思いに、応えてくれた人たちの願いがこもっている」とあいさつした。

上棟式で読経する殿平善彦代表(手前右)

2024年7月7日 18:08(7月7日 18:47更新)北海道新聞どうしん電子版より転載