道内の発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合が2023年度、40・5%と初めて4割を超え過去最高となったことがわかった。政府は現在、将来の電源構成目標などを示すエネルギー基本計画の改定を進めているが、21年の前回計画で定めた30年時点の再エネ比率目標「36~38%」を道内はすでに上回っている状況。今後も洋上風力など多くの再エネ導入が見込まれ、送電網の増強や蓄電池の活用などが課題となっている。


 北海道電力ネットワークの公表資料を基に北海道新聞が分析した。23年度の再エネ(水力、太陽光、風力、地熱、バイオマス)の発電量の比率は前年度比5・4ポイント上昇。電源別では、風力が4・6%から7・9%に、太陽光が8・9%から10・3%に伸びた。一方、火力は64・9%から59・5%に減少した。国内全体の再エネ比率は、最新値の22年度で21・7%。
 道内は再エネの潜在力が大きく、国内外の事業者が電源開発を進めている。次世代半導体製造ラピダス(東京)や大型データセンターの進出により道内の電力需要は33年度までの10年間で6%増える見通しで、エネルギー政策に詳しい国際大の橘川武郎学長は「再エネを可能な限り導入することが北海道の産業振興につながる」と話す。
 ただ、発電所から需要地までの送電・変電設備の容量不足が課題となっている。北電ネットワークは、送電線の混雑時に出力を抑制する条件で再エネ電源をつなぐ「ノンファーム型接続」の導入や、余剰電力をためる蓄電池の活用技術の研究などに取り組んでいる。
 今後、北電が26年度中を目指す泊原発(後志管内泊村)再稼働後の電力需給や電源構成も焦点となる。時間帯によっては多くの電力が余る状況も想定されるが、同社は「電力需要の増加が見込まれる中、安定供給や電気料金抑制のためにも早期再稼働が必要」とする。再稼働後は、再エネと原発を合わせた「非化石電源」の比率を60%以上と見込んでいる。

2024年7月4日 19:02北海道新聞どうしん電子版より転載