文部科学省は26日、デジタルや環境など成長分野の人材育成に向け、理系学部の新設や拡充を支援する「大学・高専機能強化支援事業」に、道内の4大学2高専を選んだ。このうち北星学園大(札幌)は、次世代半導体の量産化を目指すラピダス(東京)の千歳市での開業などをにらみ、1962年の開学以来初となる理系の「総合情報学部」を2027年度に設立。デジタル人材の育成を目指す。

 同事業は成長分野の人材育成を目的に、学部転換や定員増に取り組む大学・高専に施設整備費や人件費を補助する。公募は23年度に続き2回目で、今回は全国で96校97件を選定。このうち道内は、支援額が最長10年最大20億円のメニューに同大と酪農学園大(江別)、最長10年最大10億円の対象に北見工業大、公立千歳科学技術大、苫小牧高専、旭川高専が選ばれた。

 北星学園大は、道内で高まるデジタル人材への需要を背景に、入学定員100人の総合情報学部を新設する。同大企画広報課は「これまでの人文系教育の蓄積を生かし、情報科学のスキルを加え、よりよい社会の実現に貢献できる人材を輩出したい」としている。

 酪農学園大も26年度、農業分野のデジタル化に特化した入学定員100人の新学類「食農環境情報学類」を開設するほか、獣医保健看護学類の入学定員を40人増やし60人とする。

 苫小牧高専は既存の2専門系を統合し入学定員80人の「情報エレクトロニクス系」を新設。旭川高専も既存の4学科を5学科に再編、それぞれ定員32人の「AI・デジタル情報工学科」「ロボット・システムデザイン工学科」を開設する。

 北見工大、千歳科技大はいずれも博士前期課程にデータサイエンスや人工知能(AI)を学ぶプログラムやコースを新設、それぞれ入学定員を15人、40人とする。

 ただ、情報などの分野の教員は限られており、計画通りに教員や学生確保の見通しが立たない場合、学部設置などの認可が下りない可能性もある。

2024年6月26日 21:40(6月26日 23:28更新)北海道新聞どうしん電子版より転載