札幌市が、出生率の向上を目指し、北海道総合研究調査会(HIT、札幌)と人口減少問題に関する共同研究に乗り出す。社会保障や人口問題を担当する山崎史郎内閣官房参与も協力する方向で、本年度中に調査を開始する。
 共同研究では、育休の取得など労働環境の改善が進んでいる市内外の民間企業や、子育て支援で実績を上げている団体への聞き取り調査などを基に、少子化の要因を多角的に探る。調査は本年度から最大2年行う予定。山梨県で昨年度から少子化対策の検証に取り組む山崎氏とも連携し、調査結果を出生率向上に向けた施策に反映することを目指す。
 市の合計特殊出生率(女性1人が生涯で産む子供の推定人数)は2022年に1.02と前年の1.08から低下し、全国平均を下回る状況が続いている。一方、市が昨年実施した調査では、各世帯が産みたい子どもの数が実現した場合の「希望出生率」は1.44で、現実との乖離(かいり)がある。
 市の出生率の低さは未婚率の高さが一因とされる。背景には、若者の首都圏への流出や雇用状況の悪さなどが指摘されている。市幹部は「これまでの少子化対策では出生率の向上につなげられていない。現状を多角的に分析し、より効果的な施策を検討したい」としている。

2024年6月14日 20:50(6月15日 12:13更新)北海道新聞どうしん電子版より転載