札幌市が実施した人口減少問題に関する調査で「子どもは欲しくない」との回答が独身の男女ともに3分の1を超えたのは、若年世代の価値観の変化に加え、共働き率が政令市で最も低く、所得の低さや働きにくさが影響しているとみられる。有配偶率や有配偶出生率も政令市で最低水準で、人口減少緩和策が喫緊の課題となっている。
 独身男女35%「子ども欲しくない」 札幌市23年調査
 市は人口減対策の総合計画である第3期「さっぽろ未来創生プラン」(2025~29年度)の策定作業を進めており、同プランの「人口ビジョン編」の素案で各種調査の結果や分析を公表した。
 総務省や厚生労働省の統計を基に市が調べたところ、札幌の共働き率(20年)は46.1%で、全国平均の51.6%を下回り、政令市と東京を合わせた21都市で最低。札幌の有配偶率は44.1%で、全国と21都市平均を下回る。有配偶出生率は21都市で2番目に低く、第2子以上の有配偶出生率は最も低かった。
 一方、市が18年と23年に市内の男女を対象に実施したアンケートで、結婚する場合の障壁は「結婚後の生活を維持していくための資金」が両年とも最多で、男女ともに3割前後を占めた。
 市の担当者は「中小企業が多い札幌は男性の労働時間が長い傾向にあり、育児休業の取得率も低く、産後女性の職場復帰も進んでいない」と指摘する。働きにくい環境が共働き率の低さと世帯収入の少なさを招き、出産の妨げとなっているとみられる。
 価値観の変化で子どもを欲しがらない若者も増えている。市はデータを多角的に分析し、本年度中に第3期さっぽろ未来創生プランを策定する考えだ。

2024年6月25日 22:47(6月26日 7:45更新)北海道新聞どうしん電子版より転載