旭川市の広瀬爽彩さんへのいじめに関する調査報告書とみられる文書が市民団体のサイトで公開され、専門家からは「個人の判断で公表すべきではない」と批判の声が上がった。道内では今月、札幌市立中学校の生徒の個人情報が記載された資料とみられる画像が交流サイト(SNS)に流出し、拡散したばかり。教育に関する情報管理のあり方を問われる事態が相次いでいる。

 団体の代表は広瀬さんへのいじめ問題の解明を理由に文書を公開したとしているが、市外のいじめ問題の第三者委員会で委員を務めた経験のある北翔大の飯田昭人教授(臨床心理学)は「重要なのは被害者と遺族のプライバシーの保護。旭川市教委の了承を得ずに個人の一存で公にするのは良くない」と指摘する。

 文書の入手経路は不明で、飯田教授は「どのように情報を管理していたのか、誰がアクセスできたのかなど、市教委は情報管理の方法を可能な範囲で説明すべきだ」と話す。

 報告書の作成は多くの人が関わる。学校リスクマネジメント推進機構(東京)の宮下賢路代表は「漏えいリスクは付きもの。個々の管理意識の徹底に加え、盗難や不正アクセスの防止など幅広い対策が必要だ」と訴える。

 今はSNSで瞬時に情報が拡散する時代。鳴門教育大の阪根健二特命教授(学校教育学)は「情報の取り扱いはよほど注意しなければいけない。黒塗りを外した文書が外部に渡ったとしたら、理由を検証する必要がある」と話した。

2024年6月24日 23:14(6月24日 23:27更新)北海道新聞どうしん電子版より転載