帯広のTKタクシーなどを傘下に持つミライズグループ(帯広)は、障害者も健常者も分け隔てなく働く「ユニバーサル」なカフェを市内に開設する。運営を後押しするのが、フランスのミシュラン三つ星レストランで修業し、大阪やパリでフランス料理店を経営する黒岩功さん(57)。障害者の就労支援に積極的な黒岩さんの協力を得て、障害者の働く選択肢を広げたい考えだ。
 カフェの名称は「moku*cafe(モクカフェ)」。18日から市西3南9で営業を始めた。
 同グループの一般社団法人「杪(こずえ)の杜」(村上千鶴代表理事)は、障害のある小学生以上が通う「放課後等デイサービス」や未就学児向けの「児童発達支援」の施設を運営する。8月にも道に申請し、障害者の「就労継続支援B型」の事業所を開設する方針。秋をめどにカフェを施設外就労の場とし、健常者とともに障害者が働く「ユニバーサルカフェ」に移行する。

「ユニバーサルカフェ」の開設に意欲を示す(左から)小林社長と黒岩さん、村上代表理事。手前は看板商品のベーグルサンド
 メニューは黒岩さんが考案し、同グループのドーナツ専門店「もくもく堂」の商品を使う。看板商品はホッケの塩焼きを挟んだ惣菜系のベーグルサンド(880円)。フレンチドーナツ(880円)といったスイーツ系も提供する。
 障害者の就労支援に乗り出すきっかけは、杪の杜が運営する施設に通う子どもの親の声だ。障害者の就労先が限られ、不安を抱える親が多いため、就労支援に取り組むことを決めた。
 同グループの小林義幸社長が、東京で開かれた障害福祉に関する研究会で、講師の黒岩さんと出会い、協力を依頼した。黒岩さんは飲食店や、農作物の収穫体験ができるグランピング施設を展開する「ル・クログループ」の代表。従業員計約100人のうち、60~70人の障害者が働いている。知的や発達障害、ダウン症など障害の特性はさまざま。黒岩さんは「障害によって得手不得手はあるが工夫次第でお客さんに評価されるものを提供できる」と話す。運営ノウハウを提供し、障害者の就労支援を手助けする。
 ミライズグループは、カフェ以外でも障害者に働く場を提供する考え。小林社長は「ハンディを持っている人が、誇りを持って仕事をし輝ける場所にしたい」と抱負を語った。

2024年6月20日 19:34北海道新聞どうしん電子版より転載