札幌市消防局によると、今年1~5月の救急出動件数は昨年同期と比べ5%増の4万7037件に上り、1959年の統計開始以降で最多となった。75歳以上の後期高齢者の搬送が増えていることが背景にあり、同局は体制強化を図っているが限界もあるとして、救急車の適切な利用を改めて呼びかけている。


 

今年1~5月の救急出動件数は、昨年同期を2369件上回るハイペースで推移し、過去最多だった昨年の11万9872件を上回る可能性がある。年代別では後期高齢者が46%を占め、同局は「高齢化で転倒や息ができないなど、高齢者からの通報が目立っている」とした。
 救急出動件数は、この10年間で35%増えている。これに伴い、救急車が出払ってしまい、現場に駆け付けるまで時間がかかるケースもあるという。出動から到着までの平均時間8分24秒、10年前より1分54秒遅くなった。
 同局は4月以降、救急要請に迅速に対応するため、救急隊を1隊増やし36隊に強化した。また、
患者の状態について搬送先の病院と情報共有するためのアプリを2月に導入し、救急隊と病院との引き継ぎ時間の短縮も図っている。
 市財政は逼迫(ひっぱく)しており、すぐに救急隊を増やすことは財政的にも厳しい。救急出動件数のうち、入院の必要がなく緊急性の低い要請が約半数を占めるのも実情だ。
 同局救急課の阿波俊也係長は「救急車は本来、重篤な症状の患者を迅速に運ぶことが目的にしている。救急車を使うか迷った際は、救急安心センターさっぽろに相談してほしい」と救急車の適正な利用を呼びかけている。
 24時間体制で看護師が相談に応じる救急安心センターさっぽろへの連絡は#7119などで。

2024年6月20日 21:53北海道新聞どうしん電子版より転載