札幌市が18日に初開催した「持続可能な生活道路除排雪の在り方検討会」では、住宅街など生活道路の排雪で市と町内会が費用を分担する「パートナーシップ排雪制度」など除排雪体制の在り方を見直す。年度内に3回開いて具体案を固める方針で、市は秋に開く次回会合で素案を提示したい考えだ。
 検討会は北大教授や市除雪事業協会、町内会の代表のほか、市民委員3人を加えた計9人で構成する。
 市によるとパートナーシップ制度は1992年に導入。1キロごとの作業単価をあらかじめ設定し、市と町内会で費用を折半する。大雪などで想定の排雪量を超えると市の負担が膨らむため市の負担が7割を占めていた。今回の議論を経て、市民の金銭負担を増やすか、排雪量自体を減らすかなどし、年々増える排雪費を抑えたい考えだ。


 市雪対策室は制度の現状について、町内会加入率の低下で、「費用を負担する世帯としない世帯があり不公平感が生じている」と説明。出席した市民らは「地域で高齢化が進み、除雪ボランティアも減少している」などと除排雪の課題を挙げた。
■パートナー制の扱い焦点 生活に直結、慎重議論へ
 18日に初開催した除排雪制度の在り方を議論する検討会は、パートナーシップ排雪制度の見直しが最大のテーマ。同制度の費用分担は市側と町内会側の「折半」としながらも、実態は7対3で市の負担が大きい状況が続き、市内部からは「現行制度維持は限界が近い」との声が上がる。一方で生活道路の除排雪は市民生活に直結する関心事で、秋元克広市長の政治生命にも関わりかねない。市は混迷を招いた敬老優待乗車証(敬老パス)移行問題を踏まえ、市民の声を慎重に聞いて議論を進める考えだ。
 「行政の責務、市民との役割分担を根本的に議論をしていく必要がある」。秋元市長は冒頭でこう強調し、パートナーシップ排雪制度見直しを進める意欲を示した。
 パートナー制度での市の負担は年々増えている。大雪などで想定の排雪量を超えた場合、市の負担が膨らむ仕組みを取るためだ。年度内にまとめる方針の具体案は、市民の「負担増」となる公算が大きい。ただ、初回の検討会は、市側は素案を提示しなかった。秋元市長もあいさつで「持続可能な除排雪の在り方について意見を聞くため検討会を開いた」とし、市民負担への言及は避けた。
 背景には、敬老パス見直し議論で反発を買った経緯がある。市側はパスの利用上限額の引き下げなどを提示したが、高齢者から批判が噴出。世論調査では不支持の割合が市長就任以来初めて支持を上回った。
 体制見直しについて、秋元市長は「3期目の任期中に方向性を示したい」と周囲に語る。3期目の任期は残り3年を切った。現状への危機感から体制見直しに着手したが、検討会を通じて市民の声をどうまとめ上げるか手腕が問われる。

2024年6月18日 22:53(6月18日 23:20更新)北海道新聞どうしん電子版より転載

 

・生活道路の排雪費抑制へ議論 札幌市と町内会の分担制度

札幌市は18日、住宅街など生活道路の排雪で市と町内会が費用を分担する「パートナーシップ排雪制度」について、見直しを議論する検討会の初会合を開いた。市民の金銭負担を増やすか、排雪量自体を減らすかなどし、年々増える排雪費を抑えたい考え。年度内に具体案を固める。
 委員は大学教授や除排雪業者、町内会代表ら9人。秋元克広市長は冒頭、「制度をどうするか根本的に議論する時期に来ている」と強調した。
 同制度は1992年に導入。1キロごとの作業単価をあらかじめ設定し、市と町内会で費用を折半する。大雪などで想定の排雪量を超えると市の負担が膨らむため、7対3で市の負担が大きかった。2023年度当初予算での同制度に関する費用は約27億円で14年度比約13億円増え、制度の在り方が課題となっていた。検討会では除排雪の効率化策も議論する。

2024年6月18日 20:47(6月18日 21:02更新)北海道新聞どうしん電子版より転載