【恵庭】市は今月から、市営住宅旭団地(緑町2)の高層階の空き部屋を北海道文教大の学生向けに貸し出す事業を始め、入居希望者を募集している。市内では初の取り組みで、空き部屋対策に加え、若者の地域参加によって住民の交流や地域活動の活発化につなげる狙い。まずは試行的に行い、状況次第で他団地での実施も検討する。

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北海道文教大の学生へ部屋の一部を貸し出す、市営住宅旭団地

 同団地はJR恵庭駅から南西に約400メートル、同大から南西に約1・2キロで、鉄筋コンクリート造の5階建て。貸し出すのは1~3号棟(築46~47年)の5階の3戸で、間取りはいずれも3DK。家賃は月額1万4700円~1万6500円で、同水準の一般的な住宅に比べて半額以下の一方、エレベーターは設置されていない。


 貸し出す部屋の間取り図の一例

対象は同大の学生と大学院生で、1年ごとに契約を更新すれば、卒業・修了まで住むことができる。友人同士など、複数人での入居も可能だ。
 市によると、市営住宅では入居者の高齢化による自治会の解散などが進み、団地内の催しや入居者同士の交流の機会が減少。建物にはエレベーターがない場合が多く、高層階を中心に空き部屋が増えている。
 同様の傾向が全国各地でみられる中、京都や神戸、札幌などでは、地域の学生に市営住宅の部屋を貸し出す動きが進んでいる。学生は本来、市営住宅の入居対象外だが、除雪や清掃活動などへの協力を条件に割安で部屋を提供する。
 市はこれらの事例を参考に、包括連携協定を結ぶ道文教大と協力し、学生への貸し出しを始めることにした。
 市は今後、入居した学生や元々の入居者から意見を聞き、良い効果があると判断した場合は他の団地での募集も検討する。市市営住宅課は「学生が地域にどう影響をもたらすか検証したい。学生も地域の人と触れ合ったり、友達と一緒に住んだりと、貴重な経験を積めるはず」と期待する。
 詳しい情報は市のホームページで確認できる。問い合わせは同課、電話0123・33・3131へ。

2024年6月17日 22:07(6月18日 8:14更新)北海道新聞どうしん電子版より転載