【浦河】入学者数の減少が続く浦河赤十字看護専門学校(大柏秀樹学校長、27人)が2025年度限りで学生の募集を停止し、27年度末に閉校する方針であることが10日、分かった。日高管内唯一の看護専門学校で、浦河赤十字病院をはじめ地域の医療機関に人材を供給してきただけに、関係者からは「医療従事者の人手不足に拍車がかかる」と危惧する声が出ている。

 町議会厚生文教委員会で報告された。町保健福祉課によると、閉校は学生数の減少によって経営の維持が困難と日赤側が判断したためという。

 当初は24年度限りの募集停止と、26年度末の閉校方針を伝えられたが、町が存続を強く訴えたことで、1年間繰り延べになった。

 同校は1990年に開校。3年制で、看護師の国家資格取得を目指す。多くが浦河赤十字病院に就職し、地域の基幹病院を支えてきた。ところが、少子化に加えて、都市部の四年制大学志向の強まりなどで、近年は入学者数が減少していた。定員(30人)に近い28人が入学した18年度以降は減少傾向が続き、昨年度は6人、本年度は7人だった。

 管内7町は同校に対して、合わせて年額約2千万円の運営費補助を続けてきたほか、浦河町は学生確保のため、入学者に1人30万円ずつ支給する支援制度を本年度から始めたばかりだった。

 同委員会では「地域が看護学校を支えてきた経緯を考えると、日赤のやり方に憤りを覚える」「医師不足に加え看護師が確保できなくなれば、地域のセンター病院としての機能が維持できなくなるのでは」と閉校方針に厳しい意見が相次いだ。

 池田拓町長は「危機感を持って行動してきたが、1年延ばすことが日赤本社の唯一の譲歩。残念な気持ちでいっぱいだ」とした上で「センター病院の機能維持は人が住んでいくために必須の条件なので、医師や看護師の確保を含め町としてできることに、これまで以上に取り組む」と述べた。

 同病院の鈴木真一事務副部長は北海道新聞の取材に対し、「学校側も学生確保のために尽力してきたが、これ以上学生が増える見込みが少ないと判断し、苦渋の決断だった」と話した。今後は札幌などの四年制大学を対象に、卒業後の浦河での勤務を促すため奨学生の確保に力を入れるほか、赤十字グループでの看護師派遣支援の要請を検討したいという。

 

2024年6月10日 18:56(6月11日 14:09更新)北海道新聞どうしん電子版より転載