2023年度のふるさと納税寄付額で、十勝管内では過去最高額を更新する自治体が相次いだ。管内19市町村のうち、音更、士幌、芽室、更別、池田、本別、陸別、浦幌の8町村が過去最高額に。返礼品の充実やPRに力を入れたことに加え、昨年10月のルール変更に伴う駆け込み申請が追い風になったようだ。一方、ルール変更のあおりで寄付額を減らした自治体もあり、明暗が分かれる形になった。

芽室町の寄付額は前年度比66.5%増の4億5149万円で、過去最高額となった。返礼品の中で人気の町産スイートコーンの在庫を増やしたほか、寄付を受け付けるポータルサイト数も7から13にしたことが要因だという。「24年度の目標寄付額は6億円。新規の返礼品も開発したい」(町魅力創造課)とさらに力を入れる方針だ。
 総務省は昨年10月、自治体が寄付を募るための経費を「寄付額の5割以下」とする基準を維持しつつ、経費として計上する項目を拡大。このため返礼品の寄付額を引き上げる自治体が全国的に相次ぎ、「駆け込み申請」が目立った。
 芽室町も返礼品の寄付額引き上げの影響で「9月に駆け込み申請があった」(同課)としている。同じく寄付額が同17.5%増の1億1545万円で過去最高の本別町は「駆け込み申請が主因になった」と説明する。
 ルール変更が不利に働いた自治体も。寄付額が同13.2%減の13億5145万円となった帯広市。「寄付額の減少は複合的な要因」(市総務課)としつつ、ルール変更に伴う返礼品の見直し作業に伴って11のポータルサイト全てで募集を一時停止したことが影響したという。
 総務省は経費だけではなく、返礼品として認める「地場産品」の要件も厳格化。幕別町では、町外産豚肉を町内の事業者が加工して返礼品としていたが、取りやめた。返礼品数は約2割減り、寄付額は同26.0%減の1億8889万円に。同町商工観光課は「人気の返礼品を取り下げざるを得ず、厳格化は痛手だ」と頭を抱える。
 一方、こうした事情とは異なる形で寄付額が減った自治体も。広尾町は20年度以降、寄付額が減少傾向にあるという。毛ガニやシシャモなどの海産物が返礼品の主力だったが、町の担当者は「赤潮の影響もあって十分な漁獲量を確保できない。ポータルサイトに掲載できない」と悩む。
 中札内村は、返礼品を村内の業者に発注する際に、村職員が事務処理をミスして返礼品を送ることができなかったことが昨年10月に判明。この影響で寄付額が同42.1%減の7億6004万円と大幅に落ち込んだ。
 寄付額が前年度から約18倍の4億2300万円と急伸した更別村は、昨年5月から村内で新たに稼働した食肉加工場の豚肉スライス盛りなどを返礼品に加えたところ、人気を集めて大幅増になった。

2024年6月4日 21:07(6月4日 21:24更新)北海道新聞どうしん電子版より転載