【富良野】市社会福祉協議会は、認知症や精神疾患、知的障害などで金銭管理が難しい人の自立支援事業に、オンラインによる遠隔で利用上限額を設定したり、使用状況が把握できるプリペイドカードを導入した。現金を扱わず、出金のために金融機関に出向く必要がないといった利点があり、買い物を代行するヘルパーらも使えるようにするなど活用範囲を広げることも検討している。
 4月に導入したのは、IT技術を取り入れた金融関連サービスを提供するフィンテック企業「KAERU(かえる)」(東京)が展開する「KAERUカード」。現在は3人が所持し、他に2人が利用を検討している。
 カードは利用者の金融口座とひもづけられ、オンラインで入金される。上限額は1日単位から設定できるため、使い過ぎが防げる。米クレジットカード大手のマスターカードが使える店やタクシー、通信販売などでも利用可能だ。上限額の変更、残高や利用状況の確認をオンラインで行えるため、これまでは難しかった急な出費にも対応しやすくなった。
 利用料金はさまざまなプランがある。富良野市社協は現在、利用者10人までの支援者利用料月額5500円のプランに加入している。1人当たり月額396円の利用者料金も社協側で負担している。
 担当する社協の明石吉史事務局次長は「使い勝手を聞きながら、利用者の幅を広げたい」と話す。買い物代行で他人の現金を預かることに抵抗を感じるヘルパーもいることから、そうした事業などへの活用などを模索しているという。

KAERUカードの見本。利用者は現金を扱わずに買い物ができる

2024年5月17日 18:15(5月17日 19:25更新)北海道新聞どうしん電子版より転載