札幌市内に住むイスラム教徒らが設立した「サッポロ・インターナショナル・スクール」(札幌市東区)に通う子供たちが、イスラエルの攻撃を受けるパレスチナ自治区ガザの惨状を訴えるパネル作品を作成した。布でくるんだ遺体の写真や現地の歴史を記した地図を盛り込み、平和への思いを込めた。同スクールは、多くの人に見てもらおうと、展示する場所を探している。
 同スクールには、エジプトやバングラデシュなどの国籍を持つ、幼稚園から中学校までの約30人が通い、日本語やアラビア語、日本文化などを学習。作品は「パレスチナの歴史」と銘打ち、縦70センチ、横1.3メートルの緑色の模造紙を台紙にして制作した。中央には、パレスチナの「国旗」をモチーフにして色分けした複数の写真を配置している。
 例えば、旗の黒色の部分は、電気が通らず暗闇に包まれているまちの様子を、赤色は火災や救急活動に追われる人々の様子を写した写真を貼り付けた。旗の緑色や白色の部分は、赤ちゃんなどの遺体を包んだ布の色で表した。周囲にはパレスチナの地図や歴史を伝える資料を並べた。


子供たちが作成したパレスチナの現状を伝えるパネル。中央には、パレスチナの「国旗」を題材に写真を色分けして配置した(金田淳撮影)
 同スクールは、現地の置かれている状況を発信しようと、2月の美術の時間に制作した。エジプト国籍で、中学1年のロジャイン・シェハタさん(12)は「学校や病院が壊され、けがをした人の治療もできない。雨が降れば、雨宿りさえできない人もいることを知ってほしい」と話す。
 同校は3月中旬、この作品を市内の商業施設で延べ2日間展示しただけで、他に展示できる場所が見つかっていない。モハメド・シェハタ校長は「子どもたちが考えてまとめた作品。パレスチナに関心を寄せてほしい」と話し、展示する場所を募集している。問い合わせは、同校のアドレスsiis.japan@gmail.comへ。
■18日に「世界祈祷日」 宗派超え来場を
 世界の平和を祈る「世界祈祷日 2024」が18日、札幌市中央区北1東6のカトリック北一条教会で開かれる。今年は特に、中東のパレスチナのために祈る。札幌の行事を主催するキリスト教系団体は、宗派を超えた来場を呼びかけている。
 世界祈祷日は1887年、米国のキリスト教徒の女性たちが始めた。毎年、世界のキリスト教関係者でつくる国際委員会が中心になり、世界各地で実施しており、道内ではカトリック札幌教区エキュメニカル委員会が主催する。
 当日は、親族が殺害された女性などパレスチナ住民のメッセージを代読し、合同礼拝などを行う。同委員会代表の小野有五・北大名誉教授は「違いを認め合う平和な社会を目指したい」と話す。午後1時半から。無料。メッセージなどが載った冊子は200円。問い合わせは小野代表、電話090・3110・5930へ。

2024年5月11日 22:34北海道新聞どうしん電子版より転載