開設から丸2年となった私設学校「北見夜間中学」(斉藤満幸代表)が、新たな学びの場として定着している。今年4月には、不登校だった中学生9人が高校に進学。マンツーマンのきめ細かな手法が生徒の学ぶ意欲を高めており、人気は高齢者にも広がる。
 「『I know him』。この文章は『私は彼を知っている』という意味だね」。4月19日に市総合福祉会館で行われた夜間中学の英語の授業で、講師が中学生から高齢者までの生徒に説明した。
 授業に参加した生徒6人に対し講師は5人。一緒に教材を解きながら、理解度に合わせ文法や用例を説明していく。中学2年の男子生徒は不登校というが「ここは先生が優しいし、距離が近いから学んでいて楽しい」と通う理由を話す。
 夜間中学は2022年5月に不登校の児童生徒の学びの場を目的として開設。市内では不登校の子どもの増加が深刻化しており、昨年度は全児童生徒の4.0%にあたる298人に上った。13年は110人と全体の1.2%で、割合は10年間で3倍強に増加した。
 参加者は堅調に増え、2年目の昨年度は中学生延べ239人、高齢者延べ259人が通い、それぞれ1年目の1.5倍になった。なかでも不登校だった9人が公立高や単位制高などへの進学を決めた。
 昨夏からは、毎週火曜の夕方に、中学生限定で習熟度別の数学講習も開始。ボランティア講師が個別に教えている。このほか、国語や英語もほぼマンツーマンに近いサポート態勢を取っている。
 授業を支えるのは退職した学校教員や北見工大の学生たちだ。1年目は延べ378人、2年目は延べ419人がボランティア講師として参加し、手作りの教材を使い、学ぶ楽しさを伝えた。従来の教科にとらわれず、民衆史の専門家や現役の客室乗務員を講師として呼ぶなど、社会を知るきっかけになるよう工夫する。
 斉藤代表は「学ぶ楽しさを知るともに、身近に相談できる大人がいると知ってほしい」と話す。受講希望者、運営スタッフを募集中。問い合わせは斉藤代表、電話090・5223・7436へ。

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マンツーマンに近い環境で英語を教わる北見夜間中学の生徒

2024年5月9日 18:08北海道新聞デジタル版より転載