新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行してから8日で1年を迎える。札幌市は本年度以降、新たな感染症の流行に備え、市保健所の体制強化などに向けた計画策定を加速させる。ただ、新型コロナが終息したわけではなく、市は手洗いなどの基本的な対策を呼び掛けている。
 市は本年度、地域保健法に基づき、健康危機対処計画を策定する。感染症による危機が発生した際の市保健所の人員配置のあり方や、感染症に対応する新たな部署の設立も含めて検討する。新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、対策行動計画も本年度に策定し、施設利用の制限など感染拡大防止のための臨時的な対応も検討する。来年度以降、感染症流行時の市職員の配置などに関する業務継続計画を定める。
 新たな感染症の対策として、市は3月、2024~29年度の「感染症予防計画」を策定。計画では、国が感染症発生を公表してから1カ月後の「流行初期」と、公表半年後の「流行初期以降」の検査体制や宿泊療養施設などの数値目標を設定した。
 一方、新型コロナの対応について、市は3月下旬で発熱時の相談や新型コロナワクチンに関する問い合わせの専用電話窓口を廃止。国もワクチンの無料接種を3月末で終了した。定期接種は今秋以降、65歳以上と重症化リスクの高い60~64歳を対象に原則有料で行う。
 現在もコロナ禍は続いている。市によると、1医療機関当たりの患者数は4月22~28日で3.67人となっている。1月29日~2月4日の16.21人をピークに患者数は落ち着いているが、今月も市立の中学がコロナの影響で学年閉鎖した。市は「引き続き手洗いや室内の換気など基本的な対策を心がけて」としている。

 

2024年5月7日 22:49(5月7日 23:20更新)北海道新聞どうしん電子版より転載