経済界有志らでつくる民間団体「人口戦略会議」(議長・三村明夫日本製鉄名誉会長)は24日、全国の40%超に当たる744自治体で人口減少が加速し、将来的に「消滅の可能性がある」との報告書を発表した。大都市への人口流出が続いた場合、2020~50年の30年間で、子どもを産む中心の年代となる20~39歳の女性が50%以上減ることが推計される自治体が対象。道内の「消滅可能性自治体」は、全体の65%超の117市町村に上った。同会議は、国や自治体に対し、地域特性を踏まえた対策を求めた。
 消滅可能性自治体を巡っては、人口戦略会議副議長の増田寛也日本郵政社長が座長を務めた「日本創成会議」が14年、全国の896自治体(道内147市区町村)が該当すると発表。今回の結果では対象自治体数は減少し、報告書は「若干改善が見られる」としたが、主な要因は外国人住民の大幅な増加だとして「少子化基調は全く変わっていない」と警鐘を鳴らした。
 人口戦略会議は、国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が昨年12月に公表した「地域別将来推計人口」を基に、全国の1729市区町村を分析した。消滅可能性自治体の根拠となった20~39歳の女性の減少率は、道内は歌志内市の86.7%が最大で、渡島管内松前町と木古内町が82.8%、空知管内上砂川町82.1%、釧路管内白糠町80.3%と続いた。小樽市(60.6%)、釧路市(54.1%)、函館市(50.7%)も減少率が50%以上となった。


 道内で減少率が最小だったのは後志管内ニセコ町の21.8%。同管内仁木町(24.1%)、上川管内東川町(24.2%)、千歳市(24.3%)、札幌市(24.4%)だった。
 人口戦略会議は今回初めて、自治体間の人口移動を前提とした分析のほか、出生と死亡だけの要因で人口が変化すると仮定した推計(封鎖人口)に基づく分析も実施。いずれの分析でも若年女性人口の減少率が20%未満の自治体を「自立持続可能性自治体」と位置付けたが、道内に対象市町村はなく、全体でも4%の65自治体にとどまった。
 増田氏は記者会見で「(都市部など)若い人が集まる地域の出生率が下がっている。その改善が図られないと、全体の事態改善にはつながらない」と指摘。「北海道は消滅可能性自治体が多く、人口流出も激しい。出生率の低い地域もあり、社会減対策も自然減対策も必要だ」と話した。

2024年4月24日 13:30(4月24日 21:55更新)北海道新聞どうしん電子版より転載