電気や都市ガスの料金負担を軽減する政府の補助制度が、5月使用分で終了する。再生可能エネルギー普及のため国が電気料金に上乗せする賦課金も引き上げられたため、家計の負担は4~6月に段階的に拡大。道内の標準的な世帯では、年間約2万4500円の負担増となる見通しだ。物価高騰の影響で実質賃金が過去最長の23カ月連続マイナスとなる中、家計の重しとなりそうだ。


 「食品や日用品が値上がりし、電気代の補助はありがたかった。すでに節電しているので、今後どう切り詰めたら良いのか」。札幌市西区で夫と暮らす女性(80)は途方に暮れる。
 政府はロシアのウクライナ侵攻による石油や液化天然ガス(LNG)などの高騰を踏まえ、昨年1月使用分から補助を導入した。補助額は電気が1キロワット時当たり7円、ガスは1立方メートル当たり30円だったが、昨年9月使用分から半額にした。
 さらに、政府は「燃料価格は高騰前の水準に戻った」とし、今年5月使用分を電気同1.8円、ガス同7.5円に縮小し、6月使用分からいずれも廃止する。補助の段階的廃止で、道内の標準世帯(北海道電力で契約数の多い「従量電灯B」30アンペア、月230キロワット時使用)では本年度、電気料金の負担が23年度に比べ1万2466円増加。ガス料金は標準世帯(北海道ガスで月27立方メートル使用)で6277円の負担増になる。
 電気代は4月使用分から、電力会社が太陽光や風力などの再エネ電気を買い取る費用の一部を国民が負担する賦課金も増額。1キロワット時当たり前年度比2.09円増の3.49円となり、標準世帯で年間5768円の負担増となる。
 補助の段階的廃止の影響と合わせると、標準世帯の本年度使用分の電気・ガス料金は前年度に比べ2万4511円の負担増となる計算だ。野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「賃上げによる消費活動への好影響を一部相殺してしまう可能性がある」と指摘する。
 毎月の電気・ガス料金は、燃料価格の動向が反映される。中東情勢緊迫化で原油価格が高騰し、料金がさらに値上がりすることも懸念される。斎藤健経済産業相は「緊急対応が必要となった場合は迅速かつ機動的に対応したい」と述べ、補助の再開も念頭に動向を注視する考えを示している。

2024年4月20日 20:16(4月20日 23:15更新)北海道新聞どうしん電子版より転載