【石狩】市内の社会福祉法人「瓔珞(ようらく)会」が市内で運営する高齢者施設で、発達障害などの子どもを預かる放課後等デイサービスを始めて1年が経過した。高齢者とレクリエーションなどを通じて交流する「療育プログラム」により、障害児は人を思いやる心が育ち、高齢者の幸福感も増す効果が現れている。
 同法人は2005年から市花畔で高齢者施設「デイサービスセンターばんなぐろ」を運営。昨年4月、施設内に「児童発達支援・放課後等デイサービスばんなぐろ」を開設した。市によると、障害児と高齢者がともに過ごす施設は「瓔珞会」が市内で唯一という。
 現在、放課後等デイサービス(定員10人)は未就学児~高校生の7人、高齢者デイサービス(定員18人)は70代~100歳の17人が利用している。
 平日と祝日の日中、子どもたちは児童発達支援管理責任者や保育士、高齢者たちと、折り紙や料理、音楽に合わせ体を動かして感性を育てる「リトミック」といった療育プログラムに取り組んでいる。
 同法人は効果について、子どもが高齢者の手を引いて歩き、高齢者の配膳を手伝うなど、相手を思いやる気持ちが育っているとする。子どもと接する高齢者も笑顔が絶えないという。
 施設を利用する女性(93)は「娘や孫、ひ孫は本州に住み、なかなか会えない。施設で子どもたちと触れ合うと気持ちが晴れ晴れする」。放課後等デイサービスを利用する小学2年佐藤小春さん(7)も「おじいちゃん、おばあちゃんはみんな優しくて、話せるのがうれしい」と話した。
 同法人の佐々木新・統括施設長(50)は「子どもが自己肯定感を育み、安心できる場所になっている」と話す。同法人はデイサービスの見学相談会を受け付けている。問い合わせは同法人、電話0133・76・1133へ。

高齢者たちに見守られながら、療育プログラムに取り組む放課後デイサービスを利用する子ども(中央)

2024年4月18日 23:03(4月18日 23:20更新)北海道新聞どうしん電子版より転載