【様似】3月末で町地域おこし協力隊員の活動を終えた徳重誠さん(38)と大杉鉄平さん(29)が町内に定住し、4月から新たな仕事をスタートさせた。徳重さんは住民からの依頼でさまざまな業務をこなす「便利屋」を開業し、大杉さんは町職員としての一歩を踏み出した。2人は「様似が好きなので、これからも地域に貢献していきたい」と話す。
■徳重さん 「便利屋」開業、人助けに

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依頼された小屋の解体作業に励む徳重さん

徳重さんは鹿児島県出身で、地域の課題解決をテーマに2020年4月に協力隊員に着任。現役の東大大学院生でもあることから、東京から東大生を招いて浦河高生を対象に進学相談会を開催したり、町民向けに持続可能な開発目標(SDGs)に関するワークショップを開いたりするなどの活動を行ってきた。
 任期終了後は「高齢者の多い地域だからこそ、困っている人の助けになる仕事をしたい」と考え、4月に合同会社「アポイワークス」を設立。住民からの依頼を受け、小屋の解体や高齢者の買い物代行、草刈りなどに汗を流している。隊員になる前に浦河町内の福祉施設に勤務し、大学院では障害者の就労支援について学んだ経験があることから、「いずれは障害がある人を雇い、就労支援に近い事業をやっていきたい」と展望を語る。
■大杉さん 町職員転身、観光に一役

町商工観光課の職員として働く大杉さん

大阪府出身の大杉さんは22年12月に観光振興担当の協力隊員として着任。様似観光案内所の事務に従事したほか、旧様似駅のホームを活用したライブイベントや、町内の外国人らに声をかけてお国料理を提供するグルメフェスティバルを開くなど、地域のにぎわい創出に注力してきた。
 日頃の活動で町職員と接する機会が多かったことから、「自分も行政の仕事に携わりたい」と考えるようになり、来年3月末までの任期を1年残して退任し、4月から町職員として働く。商工観光課に配属され、キャンプ場や海水浴場などの観光、レジャー施設の管理を担当する。「隊員時代の活動内容と異なる点もあるので、上司のサポートを受けながら、一から仕事を学ぶ日々です」と大杉さん。
 今夏にはアポイ岳を含む日高山脈襟裳国定公園の国立公園化が予定され、国内外から注目が集まることが予想される。大杉さんは「行政に携わる一員として、隊員の時と変わらず地域活性化に力を尽くしたい」と意気込む。

2024年4月15日 19:09(4月15日 21:08更新)北海道新聞どうしん電子版より転載