札幌市雪対策室は本年度、住宅街など生活道路の排雪で市と町内会が費用を分担する「パートナーシップ排雪制度」の見直し議論に着手する。毎年増え続ける排雪費と、事業者の担い手不足が課題となっていた。まずは5月下旬にも市民や有識者からなる検討会を設置し、今後の除排雪のあり方について意見を聞く。
 新設するのは「持続可能な生活道路除排雪の在り方検討会」。メンバーは町内会の代表や事業者、市民など8人程度を想定し、年度内に計4回開く。市は、意見を聞いた上で、今後の方向性を検討する。
 1992年に導入されたパートナーシップ排雪制度は、町内会単位で申し込むと、市と契約した業者がシーズン中1回に限り排雪を行う。1キロメートルごとの単価を設定し、市と町内会などで費用を折半する仕組み。
 市によると現在、生活道路全体の7割にあたる2600キロ(町内会など約1300団体)で制度を利用している。ただ、重機の維持費などで町内会負担分の単価は高騰しており、2015年の45万円から21年以降は52万円に値上がりした。
 住民からは町内会負担の軽減や無償化を求める声が上がっているが、市の負担も重くなっている。市の22年度の雪対策費268億円のうち、パートナーシップ排雪制度にかかる費用は27億円と、14年度比で13億円増加している。町内会と折半の単価も、想定の排雪量を超えると市の負担が膨らむため、近年の比率は7対3で市の負担が大きくなっている。
 除排雪事業者の担い手不足は深刻だ。事業者対象の22年調査では、従事者4千人のうち50代以上が半数を占めた。市雪対策室は「現行制度はいずれ限界を迎える。検討会での意見を踏まえ、今後の方針に役立てたい」とする。
 市は検討会に参加する市民を2人程度募集する。面接などで選考する。市内在住の18歳以上で、地域活動に関する知見があることが条件。応募は19日まで、問い合わせは同室、電話011・211・2682へ。

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2024年4月5日 22:17北海道新聞どうしん電子版より転載