札幌市は本年度、感染症にかかった子どもを一時的に預かる病児保育事業を東区や白石区の5施設で始めた。これまでは原則、病気の回復期の病後児のみ対象だったが対象を広げた。病気にかかった子どもを預けたい保護者の需要は高く、市は今後、全10区に設けることを目指し利用率向上を図る。
 受け入れ対象となる病児は、インフルエンザや溶連菌感染症などにかかった子どものうち、腹痛を伴う下痢がないことや24時間以内にけいれんや意識障害を起こしていない生後5カ月から小学6年生。新型コロナウイルスに感染した子は対象外。保護者が仕事などで看病が難しい状況であることと、かかりつけ医の診断書が必要となる。
 病児を受け入れるのは、すでに病後児を預かっている市内7施設のうち、天使病院(東区)や勤医協札幌病院(白石区)を運営する法人が管理する計5施設。看護師や保育士が世話をし、病状によっては隔離室で他の子どもへの感染を防ぐ。各施設の定員は、病児と病後児を合わせて4人。利用開始の前日までに最大3日間分予約できる。利用は1日3千円。
 病後児の預かり施設は、感染症が流行する冬の需要は高い一方、夏は比較的空いているなど季節によって空き状況は異なっていた。ただ、利用申し込み人数に対し受け入れができたのは、2022年度は58%と半数ほどにとどまった。
 市は全10区に病児、病後児の預かり施設を設けることを目指し、23~27年度の行財政運営指針「中期実施計画(アクションプラン)」で、27年度には利用率を85%に高める目標を掲げている。


 市子ども未来局は「保護者の利便性を高められるように、今後も事業の改善を続けたい」としている。

2024年4月3日 23:55北海道新聞どうしん電子版より転載