苫小牧市は4月から、全市での導入を目指す家庭ごみの戸別収集について、全員が85歳以上の世帯を対象に加えた。市民の負担軽減やマナー向上を目的に市は8年前から戸別収集のモデル地区を設け、3千世帯を対象に先行実施してきた。今回新たに最大で約千世帯増えるが、その後の見通しは立っていない。
 戸別収集は岩倉博文苫小牧市長の公約で、数戸単位のごみステーションではなく一戸建て住宅を対象に、各戸に置く専用容器から回収する。コロナ禍や物価高など想定外の事態で進展が遅れていた。
 4月から対象となったのは、1日時点で全員が85歳以上の世帯。ただし、介護認定を受けていたり、障害者手帳を持っていたりする人は、市の担当者が訪問してごみを回収する「ふれあい収集」事業を利用できるため対象から外れる。
 希望者は市ゼロごみ推進課に電話で申し込み、最大3カ月程度の審査をへて戸別収集を開始する。市は希望世帯に対し、7月から3カ月ごとに順次収集を開始していく。
 先行実施は2016年7月、14地区の約3千世帯で始めた。市が18年度に行ったアンケートでは、回答した1473世帯の9割弱が「ごみの分け方・出し方に注意するようになった」とした。「ごみ出しが楽になった」との答えも6割を超え、好評という。
 全市で戸別収集をする場合、対象は4万4千世帯に上る。24年度の実施対象は先行地区と85歳以上世帯の最大4千世帯となり、まだ全体の1割に満たない。
 市のごみ収集費も課題だ。現在は年間7億1千万円で、全世帯を戸別収集に切り替えれば10億円を超すという。市ゼロごみ推進課は「85歳以上の戸別収集の動向を見極めてニーズを把握し、段階的に拡大していきたい」としている。
 戸別収集の申し込みは同課、電話0144・55・4077へ。

戸別収集の先行地域でごみを収集する作業員

 

2024年4月2日 18:39北海道新聞どうしん電子版より転載