【下川、当別】三井物産(東京)と北海道電力が出資する上川管内下川町の木質バイオマス発電施設が、3月末で稼働を休止する。コロナ禍で世界的に木材供給が滞った「ウッドショック」などで燃料となる原木の価格が高騰し、採算が合わなくなった。事業再開は見通せない状況だ。
 施設は両社が共同出資する「北海道バイオマスエネルギー」(同町、塚田聡社長)が運営。小型発電プラント11基と、未利用間伐材から燃料となる木質ペレットを製造する工場がある。最大出力は1815キロワットで2019年5月に稼働し、再生可能エネルギー固定価格買取制度を使って全量を北電に売電してきた。
 原木は下川町内など道北の森林や道内にある三井物産の社有林から調達してきた。当初見込んだ価格で仕入れられなくなり、発電休止を余儀なくされた。
 同社の塚田社長は「今後についてはあらゆる選択肢を協議しており、何も決まっていない」と話す。北電は「休止期間は未定だが、(木材価格などの)市況が変わってもすぐに再開できるかどうかは分からない」とする。
 北海道バイオマスエネルギーは、石狩管内当別町でも21年に最大出力990キロワットの発電施設を稼働させ、下川町のペレットを搬入していたが、3月末で休止する。下川と当別の施設には計10人余りの運転員がいる。全員業務委託の形で働いているといい、同社は「委託先企業が今後の対応を検討する」としている。
 北海道経済産業局によると、間伐材を使う木質バイオマス発電施設は道内に11カ所あり、大半で道産材を活用している。発電能力の大きさでは下川が8番目、当別が10番目。

3月末で稼働を休止する木質バイオマス発電施設

2024年3月30日 17:17北海道新聞どうしん電子版より転載