札幌市保健所は28日、社会福祉法人「さくら協働福祉会」(手稲区)が小林製薬の「紅こうじ」を使ったクッキーとラスクの計7種類を製造していたため自主回収していると発表した。
 回収対象は「ていぬくんクッキー」4種類と「えなまるちゃんクッキー」、「クッキーアソート」、「紅こうじラスク」。それぞれの販売数は現在調査中。同会の就労継続支援事業所「ていね・さくら館」と「元気ショップ」(中央区)の2店で販売していて、両店で23日から自主回収している。
 市保健所は26日に大阪市から小林製薬の紅こうじ原料を購入した食品事業者1社が札幌にあると連絡を受け、調査していた。

ていね・さくら館 | ナイスハートネット北海道 (nice-heart-net.jp)

2024年3月28日 17:57北海道新聞どうしん電子版より転載

 

・サプリ摂取、新たに2人死亡確認 紅こうじ使用、死者計4人に

小林製薬は28日、「紅こうじ」を使ったサプリメントを摂取した2人の死亡を新たに確認したと発表した。いずれも27日に遺族から連絡があった。1人はサプリを摂取した後に腎疾患の症状が出た状態で死亡し、もう1人は2021年以降にサプリを使用していた。これまでに死亡が判明していた2人と合わせ、死亡した人は計4人となった。
 同社は大阪市のホテルで28日、定時株主総会を開催した。冒頭、死者が4人に増えたことなど一連の問題を報告し、小林章浩社長が「被害の拡大防止と原因究明に全社を挙げて全力で取り組む」と謝罪した。サプリ摂取による健康被害の拡大が判明後、小林氏が見解を示すのは初めて。
 岸田文雄首相は参院予算委員会で「原因を明らかにし、必要ならあらゆる対応を検討しなければならない」と述べた。
 小林製薬は、自社が製造する「紅麹コレステヘルプ」を摂取した人に腎疾患などの症状が発生していると22日に発表。健康被害の相談が多数寄せられ、26日に最初の死亡例を明らかにした。昨年9月以降に製造されたサプリを摂取した人に被害が集中していた。
 死者の年代や性別、居住地などは明らかにしていない。想定と異なるカビ由来の成分が原因となった可能性があるが、特定できていない。同社は29日午後に大阪市で記者会見し、小林社長らが遺族への聞き取り結果などを説明する。
 総会は非公開で実施した。小林氏ら7人の取締役選任議案などを可決し、28日午後に終了した。
 同社株式を20年以上、所有するという奈良県橿原市の60代女性は株主総会前に「健康被害の原因を早く究明してほしいとお願いするために来た。今後どのように対処して信頼を取り戻すか聞きたい」と話した。大阪府藤井寺市の70代男性株主は「1月に健康被害を把握してから2カ月も公表しないのは遅い。会社の管理責任の問題が問われる」と憤った。
 大阪市は27日、自主回収の対象となっているサプリ3製品の回収命令を出した。さらに廃棄命令を出す方針。
 小林製薬
 医薬品、医薬部外品と芳香剤などを製造販売する。大阪市中央区に本社を置く。1886年に雑貨や化粧品の店「小林盛大堂」として創業。1919年に株式会社化し、56年に現在の名称となった。トイレ用芳香洗浄剤「ブルーレット」や消臭剤「消臭元」といった日用品のほか、更年期症状の改善薬「命の母」などを主力製品とする。2023年12月期連結決算は売上高が1734億円、純利益は203億円。23年12月末現在の連結従業員数は3534人。

2024年3月28日 10:29(3月28日 13:33更新)北海道新聞どうしん電子版より転載