日本財団は28日、札幌市内で計画するフリースクールの建設を支援することを明らかにした。対象は虐待被害のトラウマや発達障害などがある児童。事業費は全額、亡くなった道内の男女6人を含む計8人から遺言書で日本財団に寄せられた「遺贈寄付」で賄う。年内に着工、早ければ2025年春までに完成する予定。
 札幌市内で児童発達支援センターなどを手がける社会福祉法人麦の子会(札幌)が建設し、運営も担う。建設地は札幌市東区の住宅街の一角で、敷地面積は約500平方メートル。教室のほか多目的室やカフェテリア、テラスなどを備えた木造2階建ての校舎を計画している。定員は100人。
 発達の特性やトラウマによるパニック症状に対応するため、気持ちを落ち着かせるための「カームルーム」と呼ばれる空間を各階に設け、同会の専門スタッフが心理的ケアに当たる。自治体や児童相談所とも連携し、必要に応じて保護者への支援も行う。
 事業費は約3億5300万円。日本財団によると、遺贈寄付をした8人は遺言書で「子供支援への活用」などを希望したという。
 日本財団の笹川陽平会長は28日、北海道新聞本社を訪れ、宮口宏夫社長にフリースクール開設について説明した。笹川会長は「託された遺志を受け継ぎ、多様なハンディキャップがある子供たちを支援するモデルケースとして全国に広がってほしい」と期待を込めた。
<ことば>遺贈寄付 死亡した後、自らの財産を相続人ではなく、公益性の高い団体などに寄付すること。寄付先には公益法人、NPO法人、学校法人、国立大学法人、地方自治体などがあり、社会課題の解決などに活用される。寄付先は遺言書などで存命中に決めるため、「人生最後の社会貢献」として近年注目される。

サイドバーでクエリ検索

札幌市東区に建設予定のフリースクール校舎の模型

 

2024年3月28日 20:44(3月28日 22:04更新)北海道新聞どうしん電子版より転載