悩み相談の電話を24時間態勢で聞いて自殺などを防ぐ社会福祉法人「北海道いのちの電話」(札幌)が新年度の相談員を来月末まで募集している。ここ数年、相談件数が増えているのにもかかわらず、相談員数は高齢化などを背景に低迷しており、現場の負担は増す一方だ。同法人は19日午後6時半から札幌市中央区のカナモトホールで説明会を開き、市民に協力を募る。

 同法人は1979年に開設され、年中無休でボランティアの相談員が3人態勢で生活苦や病気などさまざまな相談に応じている。

 同法人によると、相談件数は2020年は1万3424件だったが年々増え続け、23年は1万5219件に増加。一方、相談員の実働数は20年は119人だったが21年は114人に減り、22年からは2年連続で122人と横ばいの状況だ。

相談員の応募を呼び掛ける「北海道いのちの電話」の杉本事務局長

人員不足の大きな要因は相談員の高齢化だ。平均年齢は68歳で、本人の健康問題や、親の介護などを理由に、毎年数人~十数人が辞退するという。新規に認定しても、辞める相談員もいるため、大幅な増員は見込めない。同法人の杉本明事務局長は「このままでは、活動が立ち行かなくなってしまう」と危機感を募らせる。
 募集対象は20歳以上で、研修期間は24年7月から26年3月まで。1年目は電話対応の原則をグループワークなどで学び、2年目は先輩相談員の指導の下で電話対応を実際に行う。研修終了後に認定を受ける。研修費は総額で3万円かかる。杉本事務局長は「電話を通じて多くの方の命を守る最後のとりで。仲間に加わりませんか」と呼び掛けている。研修希望者は「北海道いのちの電話」のホームページか事務局、電話011・251・6464へ。

2024年3月15日 23:30(3月16日 0:25更新)北海道新聞どうしん電子版より転載