道新先生

サイドバーでクエリ検索

ダウン症候群のある人を知っていますか? 「小学校にいるよ」「友達のきょうだいがそうだよ」という人もいるでしょう。ダウン症の人は速く動くのが苦手などの特徴があります。ダウン症のある女の子を主人公にした絵本「あいちゃんのひみつ」(岩崎書店)をしょうかいします。21日は国連が定めた「世界ダウン症の日」。
 ダウン症の人は、体を作っている「染色体」というものの数が生まれつき一つ多くあります。運動や会話などはゆっくり上達していきます。これらの「障害」は薬で治すものではなく、訓練をしたり周りの手を借りたりしてできることを増やしていくのです。
 絵本の主人公あいちゃんは小学校の特別支援学級に通う4年生。同学年の子に比べて体が小さく歩くのも話すのもゆっくりだけれど、あきらめない性格でダンスがじょうずです。くっきりした二重の目はちょっとつっています。ダウン症のある人は顔の真ん中の成長がおそく、外側が先に大きくなって引っ張られるからだといいます。筋肉が弱いので姿勢を保つことも苦手です。はっきりおしゃべりできないのも、口の周りの筋肉が弱く口の中もせまいから。1歳になる前から筋肉をきたえ、訓練をしてがんばっています。
 モデルは静岡県の小嶋愛さん(15)。小学生だった愛さんが転校してきた時、周りの子は「なんで愛ちゃんはできないことがいっぱいあるんだろう」ととまどい、接し方がわからないようでした。それで母の友子さん(56)はダウン症について授業で伝えてほしいと先生からたのまれました。
 愛さんの家族は以前、ダウン症を風邪のような病気と勘違いした子から「うつるんだろう」と言われて傷ついたことがありました。間違った知識がいじめにつながることもあるため、友子さんは「正しい知識を伝えたい」と考えました。
 それで友人の絵本作家竹山美奈子さん(56)に相談しました。竹山さんは、強いこだわりなどのある自閉症スペクトラムのむすめ鈴乃さん(14)のことを絵本「すずちゃんののうみそ」(岩崎書店)に書いていました。
 竹山さんは、友子さんの話を聞いて授業で話す文章を書きました。子どもたちに見せる絵は愛さんの姉がかきました。授業のあと、学校の玄関でくつをはきかえる愛さんに、他の子が「ゆっくりで大丈夫、待っているから」と声をかけてくれたそうです。愛さんも「学校大好き」が口ぐせになりました。
 竹山さんは「医学的な難しい説明もあるけれど、易しい言葉とイメージで伝えたら、子どもたちはひょうしぬけするほど『そうなんだ』と受け止めてくれた。みんなちがう、でも同じところもある。愛ちゃんも鈴乃もそうなんだよ」と話しました。友子さんも「子どもも先生も接し方をわかってくれた」と喜んでいました。
 21日は世界各地で行事があります。米国にある国連本部では、ドラマや映画に出演しているダウン症の俳優吉田葵さん(17)が英語でスピーチします。北海道内の主な行事は次の通りです。
 ▼札幌 写真展。20日午前11時~午後3時半、札幌駅前通地下歩行空間(チカホ)▼北見 市立中央図書館で図書展。19~31日▼釧路 FMくしろで番組。15日午前8時5~15分

2024年3月15日 5:00北海道新聞どうしん電子版より転載