ドラッグストア2位のツルハホールディングス(HD、札幌)と経営統合する業界首位のウエルシアHD(東京)は、調剤事業に強みがあり、親会社の流通大手イオン(千葉)との関係を生かして食品事業を強化するなど、先駆的な取り組みで知られる。
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 「ウエルシアは調剤、ツルハは雑貨が強い。統合のシナジー(相乗効果)は大きく出る」。ツルハHDの鶴羽順社長は2月28日の会見でこう強調した。
 ウエルシアHDはツルハHDと同じく、M&A(合併と買収)により成長してきた企業だ。ルーツは1965年創業の埼玉県の「一ノ割薬局」で、これまでに20社以上をM&Aしてきた。2022年にはコクミン(大阪)の買収で道内に進出。札幌を中心に「コクミンドラッグ」などを7店舗展開している。

特徴的なのは約75%という調剤薬局の併設率の高さだ。ウエルシア関係者によると、同社が強い郊外型店舗では「自宅の近くで薬を受け取りたい」という需要が強い。利益率が高い調剤部門の売り上げを原資に、食品などを値下げして競争力を保つ戦略という。また客の利便性向上のための「深夜営業」もグループの方針として掲げており、24時間営業店舗は全体の1割に上る。
 ウエルシアは企業イメージ向上のため売上高の1%超を占めていたたばこの販売を26年2月までに取りやめる方針を23年に発表するなど、業界の先頭を切る取り組みが目立つ。22年にはイオン九州(福岡)と合弁会社を設立し、ドラッグストアとスーパーが一体化した新業態の「ウエルシアプラス」を発表。弁当や店内調理の総菜、精肉や刺身などの食品を取り扱う。既に九州で5店舗を展開している。
 一方、ツルハHDはプライベートブランド(PB)の「くらしリズム」が好調で、雑貨は売上高の4分の1を占める。PBは日用品から食品、化粧品まで900種類以上に上る。
 ツルハHDとウエルシアHDは27年末までの統合を目指しており、実現すれば売上高2兆円規模の巨大企業となる。ただウエルシアはM&Aを繰り返す中で「高コスト体質となっている」(市場関係者)との指摘も出ており、規模の利益を生かしつつ、両者の長所をどう融合させていくかが注目される。

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ウエルシア千代田お茶ノ水店内に併設されている調剤薬局=2024年3月6日(堀田昭一撮影)

2024年3月8日 21:06(3月8日 22:39更新)北海道新聞どうしん電子版より転載