政府は8日、高齢者や障害者ら要配慮者が賃貸住宅へ円滑に入居できる環境整備を進めるための関連法改正案を閣議決定した。支援団体が見守りなど入居中のサポートをする賃貸住宅を自治体が認定する制度を新設。要配慮者と大家の双方が安心して貸し借りできるようにする。10年間で10万戸の認定を目標とする。

 孤独死や家賃滞納への懸念から要配慮者への貸し出しを敬遠する大家は多い。

 改正案では、支援団体による訪問や、人感センサーで安否確認するサービスを備えた賃貸住宅を「居住安定援助賃貸住宅」と規定。物件の構造や支援策をまとめた計画を大家と支援団体が作成し、自治体が認定する。

 入居中に生活や心身の状況が不安定になった場合は、支援団体を通じて介護や就労支援などの福祉サービスにつなげる。

 センサーなど安否確認に必要な設備を取り付けるための改修工事費の一部を国が補助する。

 家賃面では、要配慮者が利用しやすい家賃債務保証業者を国が認定する。親族だけではなく、支援団体を緊急連絡先としても契約できることなどが認定条件。連絡がつく親族がいないとして、契約を断られる単身高齢者らが多いことが背景にある。居住安定援助賃貸住宅に入居する要配慮者は原則、認定業者が保証を引き受ける。

 高齢者の入居問題 賃貸住宅の大家を対象にした2021年度の国土交通省の調査では、7割が「高齢者の入居に拒否感がある」と答えた。国交省は、孤独死や近隣住民とのトラブル、家賃の支払いなどへの不安が背景にあるとみている。20年に703万世帯だった単身高齢者世帯数は40年、896万世帯に増える見込みで、入居しやすい環境整備が急務となっている。

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閣議に臨む岸田首相(右)=8日午前、首相官邸

2024年3月8日 9:10(3月8日 9:30更新)北海道新聞どうしん電子版より転載