子育て中の母親ら女性でつくる吹奏楽団「札幌mommy ’sブラス」が、今年で結成17年目を迎えた。道内のママさん吹奏楽団では先駆け的な存在で、ママ友をつくる貴重な場にもなっている。8日は国際女性デー。創設者の佐藤友美さん(43)は「母親が楽器を通じて輝ける場を広げていきたい」と新たな入団を呼びかけている。

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 合奏練習に取り組む「札幌mommy ’sブラス」のメンバー=6日

 

6日に清田区民センターで行われた定例の合奏練習。次女の月乃ちゃん(2)とともに練習に訪れた久保真衣さん(31)は「ずっと子どもと家にいると煮詰まってくるので、楽器を吹くことがストレス発散になる。先輩ママもたくさんいるので子育ての悩みも相談でき、いいことずくめ」と笑顔を見せた。
 楽団は佐藤さんが2007年に立ち上げた。学生時代は吹奏楽部でトランペットを吹いていたが、就職後に活動を中断。出産を機に「もう一度吹きたい」との思いが強くなった。当時、札幌市内には入団できる楽団は複数あったが「練習は週末の夜が多く、子どもを連れて気軽に練習できる環境ではなかった」と言う。母親だけで活動できる楽団をつくろうと、07年6月、インターネット掲示板で参加者を募集し、約20人が集まった。
 子どもと一緒に参加できるよう、練習時間は平日の昼間。抱っこひもで子どもを背負いながら楽器を吹いたり、子どもの泣き声で演奏が聞こえないこともあった。入団14年目で団長を務める楢山美津江さん(47)は「大変だったけど、夫に頼らず母親たちの力で行うことがコンセプトだった」と振り返る。
 現在は札幌を中心に北広島、石狩などから集まった約50人が、年に1回の定期演奏会と、幼稚園などからの依頼演奏をこなす。定期演奏会は子どももステージに立ち、歌ったり踊ったり楽器を演奏したりと、音楽の楽しみを親子で共有している。
 札幌地区吹奏楽連盟によると、連盟に登録されている一般の37団体のうち、女性を参加資格としているのは、札幌mommy ’sブラスのみという。楽団の常任指揮者で連盟顧問を務める小川克夫さん(77)は「吹奏楽人口は男性よりも女性が圧倒的に多い」といい、「子どもがいても楽器を吹きたいと願う母親の大きな受け皿となっている。団体の存在意義は大きい」と話す。
 佐藤さんは「最近は若い母親が入ってくれないのが悩み」といい、「潜在的に楽器を吹きたい若い女性は多いはず。一緒に演奏しましょう」と呼びかけている。2024年3月7日 21:59(3月7日 22:00更新)北海道新聞どうしん電子版より転載