北見市美山地区の住民らでつくる地域協働まちづくり会議「美山小校区ふれあい会」は、スマートフォン(スマホ)のアプリを活用して2022年から取り組んできた実証実験を3月末で終える。会員同士の情報共有の迅速化や、事務局経費の削減などに効果があり、4月からは利用対象を拡大してアプリを本格的に導入する方針だ。
 IT関連会社のCPU(金沢)が開発したアプリ「結(ゆい)ネット」を利用した実証実験は22年6月にスタート。スマホで行事予定や連絡事項などの情報を投稿し、いわば「電子回覧板」として利用者が確認できる機能で、実験は道内初の試みだった。
 会員や会を構成する町内会の役員、市役所職員で「ふれあい会」や町内会の情報をアプリ内で共有。行事の案内や連絡、資料のやりとりを行ってきた。中村嘉孝会長(81)は「回覧板や手紙では時間がかかるが、アプリなら会の打ち合わせや行事の出欠確認がとてもスムーズになった。会員の連絡に使っていたスマホの利用料金も減らせた」と利点を語る。
 同様の機能は無料通信アプリ「ライン」などにもあるが、「結ネット」はセキュリティーが強固で、データがスマホ端末内に蓄積せず、発信・受信の権限を分けることで「炎上」対策ができるなどの利点があるという。
 4月からは市役所以外にも、地元の学校や福祉団体、社会福祉協議会、警察などへも利用対象を拡大。災害時や介護福祉分野などさらに多くの情報共有に取り組む考えだ。
 「ふれあい会」の事例を参考にしようとしている道内の自治体もある。中村会長は「実証実験で初めてスマホを使い始めたが、私のように高齢でもアプリを使えれば便利だ。スマホを日常的に使っている若い世代も会の活動に参加しやすくなる」と期待している。

美山小校区ふれあい会で利用しているアプリ「結ネット」

2024年3月6日 18:45(3月6日 19:45更新)北海道新聞どうしん電子版より転載