―TORCH(トーチ)はどんな団体ですか。
 「当別町の若手経営者らが、地域課題の解決について考える団体です。トーチは英語でたいまつを意味します。元々構想はあったのですが、北海道医療大の移転計画が明らかになった昨年9月に『急ぐ必要がある』と7人で立ち上げました。週1回のペースで議論した今後の当別のあり方や活性化策を12月に後藤正洋町長に提案しました」
 ―後藤町長への提案では「成長・学び・育成」をまちづくりのキーワードにしています。
 「稼げるとか、エンターテインメントがあるとかでもいいのですが、当別に行ったら人生に対してプラスと思ってもらうのが、いいまちづくりだと考えました。当別は義務教育学校のとうべつ学園があるなど町が子育て政策に力を入れ、町内を走るJRは学園都市線という名前が付いています。成長や学びというビジョンは多くの人が共感できて、より大きな力を生み出せると考えました」
 ―成長や学びを町の活性化につなげるための具体的な施策はありますか。
 「例えば、町内に現在3人しかいない地域おこし協力隊員の制度の活用です。上川管内東川町では現在60人以上を採用していますが、協力隊員には年間計約400万円の報償費や活動費が国から支払われており、隊員が地元で飲食や買い物をするだけでも相当な経済効果です。活動に打ち込める環境を整え『当別なら成長できる』というブランドを築ければ、さらに隊員を呼び込めます。修学旅行の農泊体験の受け入れも、本州の学校からの需要が増えており、年間1億円前後の経済効果を生み出す可能性があります」
 ―道医療大が移転を計画していることを、どう捉えていますか。
 「当別青年会議所などのメンバーとして地域活動をする中で、薄いと感じていた町民のまちづくりへの関心が、この問題をきっかけにすごく高まりました。簡単なことではありませんが、当別をより良い方向に変えるチャンスでもあると思います」(聞き手・和賀豊)

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まつおか・ひろたか 当別町出身。小樽商科大卒。事務用品販売などを手掛ける「松岡商事」(町弥生)社長。2022年には当別青年会議所理事長を務めた。23年9月から現職。

2024年3月5日 23:26(3月5日 23:34更新)北海道新聞どうしん電子版より転載