昨年末に道内で猛威を振るった季節性インフルエンザが再び流行し始め、学級閉鎖が相次いでいる。子どもがかかりやすいA群溶血性レンサ球菌咽頭炎(溶連菌感染症)も過去最多のペースで感染者が出ており、ともに収束が見通せない。医師は基本的な感染対策と早期受診を呼びかける。

 「かなり鼻が詰まってるね」。2月末、札幌市西区のふるた小児科クリニックで古田博文院長(63)が3歳の男の子の鼻腔(びくう)をのぞき込んだ。先月は1日平均20人をインフルエンザと診断。古田院長は「今季2回感染した人もいる」という。

 道によると、直近の週(2月19~25日)の道内のインフルエンザ患者数は指定医療機関1カ所当たり24.22人。全道平均で警報の目安「30人」に迫る。今季は10月に過去10年で最も早く注意報の「10人」を超え、12月には過去10年で最多の60.97人を記録。年末年始に一時減ったが、2月上旬から再び増え始めた。

 インフルエンザの流行は通常11~1月ごろにA型、2~4月ごろにB型が流行することが多く、国立感染症研究所は「全国的に年明けからB型の割合が高まっている」と分析する。

 いずれも症状は発熱、のどの痛み、関節痛などで、高齢者や基礎疾患があり抵抗力が弱い人は重篤化する恐れもある。

 現在の流行は子どもが中心だ。2月19~25日は5~9歳が10.88人と最も多く、10~14歳が7.47人。インフルエンザによる学級、学年、学校閉鎖は小中高で計203校と前週より27校多く、コロナ禍前の20年同期を上回った。今季の欠席者は全道で累計7万1190人(うち札幌市3万2120人)に上る。

 溶連菌感染症も過去最多ペースで流行中だ。のどの痛みや発熱などの症状が多く、10歳ごろまでがかかりやすい。コロナ下では感染者が激減していたが、今年1月末に7.92人と、9年ぶりに過去最多を更新。2月上旬には1999年の統計開始以来、初めて警報の目安「8人」を超えた。

 新型コロナウイルスの感染者数は昨年末から指定医療機関1カ所当たり10人台が続き、「第10波」に入ったとみられたが、直近3週は連続して減っている。

 古田院長はマスク着用や手洗いなど基本的な感染対策の徹底を呼びかける。溶連菌感染症は家庭内でタオルの共用を避けることもポイントで、感染すれば抗生物質の治療が必要となる。古田院長は各感染症について「疑わしい症状があったら早期の受診を」と促す。

2024年3月3日 18:08(3月3日 22:38更新)北海道新聞どうしん電子版より転載