【岩見沢】市内で暮らす外国人の数が増加している。今年1月末現在310人で、10年間で2.5倍に増えた。新型コロナの流行が落ち着く中、人手不足の介護や建設業界で技能実習生などとして働く外国人が増えているためとみられる。岩見沢市立総合病院は、来院する外国人に対応するため、数年前に小型翻訳機を導入。市と岩見沢商工会議所は新年度にも、外国人労働者向けの日本語学習支援ができる人の養成を始めたい考えだ。
■市立病院 翻訳機導入、受診時に活用 
 市によると、市内に居住する外国人310人のうち、国別で最も多いのがベトナムで97人、ミャンマーが40人、インドネシアが39人と続いた。2014年1月末現在の外国人の数は123人で国別では中国と韓国が30人ずつ、アメリカが17人などだったため、国籍もこの10年間で大きく変わった。外国人の数は22年からの2年間で100人増えており、近年の急増ぶりがうかがえる。
 増える外国人に対し、岩見沢市立総合病院は20年度から85カ国語に対応している小型翻訳機「ポケトーク」を2台導入。救急と一般のそれぞれの外来に1台ずつ配置し、外国人が受診する時に活用している。同病院医事課によると、年間約100人の外国人が受診しているという。受診時は付き添いの日本人がいることが多いため「入院中に看護師らとの意思疎通のために活用している」という。
 ただ、翻訳機の正確さには限界があり、インドネシア人を採用する市内の事業所は「急患時や手術が必要な時など切羽詰まった状況では症状をしっかりと把握したいが、日本語のレベルはさまざま。日本人側も不安に思っている」と話す。
 また、市と同会議所は今後、外国人を採用する事業者が増えると考え、地域で働く外国人を対象に日本語学習支援ができる人を養成したい考え。栗山町が23年度から道の委託を受けて実施している「日本語学習支援者養成講座」を参考にしており、新年度に市が道に申請して事業が採択されれば、今年6月にも始めたいという。講座を受講した人の中から、日本語教室を開講する人が出てくることを期待する。市商工労政課は「まずは、養成講座でどれくらいニーズがあるのか把握したい」と話している。(高木緑)

2024年2月27日 18:20(2月27日 18:45更新)北海道新聞どうしん電子版より転載