【函館】函館市の特別養護老人ホーム「恵楽園」で職員が一部の入居者に不適切な身体拘束を行っていた問題に関し、この事実を同市に内部通報したことを理由に違法に懲戒解雇されたとして、元職員の女性が施設の運営法人を相手取り、慰謝料など165万円と職員としての地位確認などを求める訴訟を函館地裁に起こすことが27日、代理人弁護士への取材で分かった。弁護士は同日、同地裁に訴状を送った。
 施設を運営するのは同市の社会福祉法人恵山恵愛会。
 弁護士によると、女性は昨年10月、同施設で入居者のベッドを柵で囲うなどの身体拘束が日常的に行われていることや、職員が入居者に「くたばれ」「死ね」といった暴言を吐いていたことなどを同市に内部通報した。その後、同法人に退職を勧められ応じなかったところ、同12月に「施設利用者や同僚にハラスメント行為を繰り返した」と身に覚えのない理由で懲戒解雇されたという。
 女性側は、内部通報を理由に解雇など不利益な扱いを受けないことを保障する高齢者虐待防止法に反するなどとして、解雇は無効だと主張。理不尽な処分により精神的苦痛を負ったと訴えている。
 恵山恵愛会の菅龍彦理事長は「この職員を懲戒解雇したのは事実。詳細は訴訟などで明らかにしたい」と話した。(広田まさの、大庭イサク)

2024年2月27日 22:50(2月28日 9:19更新)北海道新聞どうしん電子版より転載