全国在宅療養支援医協会北海道支部は10日、函館市の函館市民会館(湯川町)で、北海道在宅医療推進フォーラムを開いた。「自分らしく暮らしていくために必要なこととは?」をテーマに、医師や介護関係者らが講演やパネルディスカッションを行った。

 神奈川県の介護施設「あおいけあ」の加藤忠相代表は、グループホームで行っている取り組みを紹介。「私たちが自転車の乗り方を忘れないように、認知症になったとしても経験や技術は体が覚えている」とし、認知症の高齢者がかつて得意だったことを調査し、施設内の料理や軽作業を任せたことで、要介護度が下がった事例などを報告した。

 在宅医療を行っている山梨市立牧丘病院の医師、古屋聡さんは、自身の認知症の母親をみとった経験も踏まえ「日頃から、どういった治療を受けたいか、どのように生きたいか家族間でよく話し合ってほしい」と話した。

 参加した市内宮前町の自営業山本康文さん(43)は、「父が亡くなり母が在宅で1人暮らしをしている。ここで学んだことを生かして母らしい生き方をサポートしたい」と話していた。(坂本麻保)

基調講演する「あおいけあ」代表の加藤忠相さん(中本翔撮影)

2024年2月10日 21:38北海道新聞どうしん電子版より転載