道内で2023年に大麻取締法違反(所持、栽培など)の疑いで摘発された人数は、前年比42人増の308人(速報値)に上り、過去5年間で最多を更新したことが8日、道警のまとめで分かった。30歳未満が全体の約7割を占め、若者の増加が全体数を押し上げた。交流サイト(SNS)を通じた大麻の売買が広がっており、道警は取り締まりと啓発を強化している。

道警薬物銃器対策課によると、30歳未満の内訳は23年が前年比48人増の215人だった。19~23年の5年間では、全体数が1・6倍、30歳未満は2・7倍に増えている。多くが自ら使用する目的で所持しているとみられ、SNSで購入したケースが目立つという。
 SNS上では、密売人らが乾燥大麻を「野菜」などと隠語で紹介し、手渡しで直売する際に使う隠語の文言も並ぶ。若者の間で「大麻は害も依存性もない」と誤った認識が広がり、違法成分を濃縮した「大麻オイル」もまん延している。
 大麻の使用は記憶障害や幻覚を引き起こす危険があり、覚醒剤など他の薬物乱用への入り口となる「ゲートウェイドラッグ」と呼ばれる。面識のない人と容易に連絡を取ることができるSNSの普及は大麻の密売に拍車をかけ、若者を中心に全国的に摘発者数が増加傾向にある。
 道内では今年に入ってからも、若者の摘発が相次いでいる。同課は「安易に大麻に手を出せば、人生が壊れる。密売ルートの解明と摘発を強化する」と話している。(下山竜良)
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 警察庁と道警は23日午後2時から、札幌市厚別区の商業施設サンピアザ1階「光の広場」で、大麻乱用の防止などを啓発するイベント「薬物銃器犯罪根絶の集い 北海道大会」を開く。 同庁が全国の警察と毎年共催しており、道内開催は初めて。北海道科学大薬学部の教授や学生が参加し、違法薬物の危険性を伝えるトークやクイズを行う。
 ゲストは、アイドルグループAKB48の元メンバー坂口渚沙さん=旭川市出身=。道警音楽隊のコンサートも行う。入場無料、申し込み不要。直接会場へ。

2024年2月8日 18:43(2月8日 18:45更新)北海道新聞どうしん電子版より転載