恵庭市の遠藤牧場で働いていた知的障害のある60代男性3人が、賃金が支払われず障害年金を横領された上、同市が虐待を把握したのに放置、隠蔽(いんぺい)したとして、牧場側と同市に計約9390万円の損害賠償を求めた訴訟の第2回口頭弁論が30日、札幌地裁(布施雄士裁判長)であった。市側は、牧場の経営者らが障害者虐待防止法上、3人の「養護者」に当たる可能性があると認めた上で、「違法行為はない」と主張した。

 市側は、牧場経営者らは3人の里親で、同法の「使用者」には当たらないと改めて強調。違法行為に当たらない理由として「市に(虐待の)届け出や通報がなかった」と述べた。

 原告側は、養護者虐待の場合は同法上、自治体が調査結果を基に自ら虐待の緊急性を判断する義務があることなどを指摘。「使用者虐待より(市側の)責任は重い」と強調した。

 閉廷後の集会で、原告弁護団は、同市の調査委員会が昨年5月にまとめた報告書について説明。報告書では、同市職員が市内の障害者支援団体の関係者から「(原告が)プレハブ小屋で冬期間寝泊まりし、足が凍傷になっていると聞いている」と言われたことが記されているといい、「市側は凍傷の可能性を把握していたのに、虐待の

2024年1月30日 19:54(1月30日 23:14更新)北海道新聞どうしん電子版より転載