国立がん研究センター(東京)は、専門的ながん医療を提供する全国の病院で2011年に診断・治療を受けたがん患者の最新の生存率を25日付で発表した。診断から10年後のがん全体(0~99歳)では53・5%と、前回集計(10年の診断患者、53・3%)と大きく変わらずほぼ横ばいだった。0~14歳の小児と15~39歳のAYA(アヤ)世代と呼ぶ患者の10年生存率も、初集計し公表した。

341施設(うち道内10施設)で診断された36万4千人の院内がん登録のデータを基に、0~99歳はがん全体と23種の部位別がんを集計した=表=。発表は5回目。
 部位別は最高が甲状腺乳頭濾胞(ろほう)の90・2%、最低は膵臓(すいぞう)の5・8%だった。がんは診断から5年後の5年生存率が治癒の目安とされることが多い。だが乳房や子宮頸部(けいぶ)ではがんの進行度合いによって、5年後から10年後にかけて生存率が徐々に低下し、長期の経過観察が必要だと分かった。
 小児とAYAは10年生存率を部位別に算出した。前々回の集計(21年公表)で初めて5年生存率を算出したが、患者が少ないため長期のデータが乏しく10年生存率が求められていた。同センターの分析では、小児は多くのがんで5年後と10年後の生存率に大きな差はなかった。
 主な10年生存率は次の通り。
 【小児】▽白血病86・6%▽脳腫瘍71・7%▽リンパ腫91・5%▽胚細胞腫瘍95・6%▽神経芽腫68・5%▽軟部腫瘍73・7%▽骨腫瘍71・4%
 【AYA】▽乳がん84・0%▽子宮頸部・子宮87・7%▽脳・脊髄腫瘍78・2%▽甲状腺99・4%▽胚細胞性ほか94・3%▽リンパ腫86・6%▽大腸70・5%
(いずれも純生存率、がん種は登録者数が多い順)(岩本進)

 

2024年1月25日 0:00北海道新聞どうしん電子版より転載