【士別】介護や児童、障害者の各領域に分かれている専門家同士が、課題解決に向け、垣根を越えて支援を進めていくためのあり方を考える研修会が18日、市民文化センターで開かれ、札幌学院大の大久保薫特任教授(66)=名寄市出身=が「多職種連携をどう進めるか」と題して講演した。

 大人に代わって家事や家族の世話をするヤングケアラーや引きこもりなど複雑な課題に対応するために必要な、支援機関のネットワーク構築に向け、市社会福祉協議会が主催。高齢者や児童、障害者福祉などの関係者約40人が参加した。

 大久保特任教授は、「連携することは当たり前。なぜできないのか、障壁を詳細に明らかにし、それに基づいて戦略を立てていくことが大事」と強調した。

 児童、障害者などの領域ごとに支援制度が細分化されている弊害について「暮らしに専門領域はないのに、勝手に制度が切り分けられてきた。専門家がばらばらに入ってくると家族も困る」と述べ、支援者が制度や常識にとらわれず、利用者の思いを第一に考えることの大切さを訴えた。

 関係機関の連携体制については「機関同士が『連携』と言うだけでは抽象的すぎ、誰がかかわるか(個人名まで)詰める必要がある。互いに顔の見える関係があれば、顔の向こうが見える。連携は、その結果生まれる」と話し、地域で支援に当たる専門家同士の個人的なつながりの大切さを強調した。(矢崎弘之)

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支援機関同士の多職種連携について講演する札幌学院大の大久保薫特任教授

2024年1月19日 19:06(1月19日 19:11更新)北海道新聞どうしん電子版より転載