帝国データバンク(TDB)札幌支店と東京商工リサーチ(TSR)北海道支社は9日、2023年の道内企業倒産件数をまとめた。TDBは前年比35・1%増の258件、TSRは35・9%増の269件で、いずれも2年続けて増加した。建設業の倒産が3倍に急増したこともあり、2017年以来、6年ぶりの高水準となった。原材料や資材価格の高騰に加え、人手不足も道内経済の足かせになっており、両社とも今年も倒産件数が増える可能性を指摘している。

 集計対象は負債1千万円以上で、TDBが法的整理のみ、TSRは私的整理を含む。負債総額はTDBが16・7%増の356億6700万円、TSRが4・7%減の297億400万円。いずれの集計でも負債額1億円未満の小口倒産が全体の7割前後を占めた。

 TDBの集計では、負債総額10億円以上の大型倒産は、福祉施設運営のアクティブ・ケア(札幌)と美容室経営のモーリスフランク・ジャパン(同)、ゴルフ場経営の函館シーサイドカントリークラブ(函館)、建設機械レンタルのK’Sレンタル(札幌)の4件。

 業種別の倒産件数では、いずれの集計でも建設業が前年比3倍以上に膨らみ、全体の4分の1近くを占めた。資材価格の高騰に加え、人材難が他業種と比べても深刻化しているとみられる。このほか小売業やサービス業の倒産が目立った。

 新型コロナウイルス関連倒産はTDBで0・1%増の79件、TSRで32・7%増の134件発生した。TSRのみが集計しているエネルギーや原材料価格の高騰が原因の倒産件数は、2・9倍の55件に上った。

 今後の見通しについて、TDBは「物価高や人手不足に加えて金利上昇への懸念も高まっており、不透明感が増している」と指摘。TSRは「建設業や運輸業でさらなる人手不足が懸念される24年問題への対応など課題は山積している。倒産は今年も増勢を強める」とみている。(高橋祐二)

【過去の推移グラフ】
北海道内企業の倒産状況

2024年1月9日 15:53(1月9日 19:11更新)北海道新聞どうしん電子版より転載