岸田文雄首相は1日、石川県志賀町で震度7を観測した能登半島地震を受け、早急に被害状況を把握し、被災者の救命・救助など災害応急対策に全力で取り組むよう関係省庁に指示した。1日夕、公邸から官邸に入り、記者団に明らかにした。政府は松村祥史防災担当相をトップとする特定災害対策本部を設置。被害状況を把握するため、石川県庁に古賀篤内閣府副大臣ら内閣府調査チームの派遣を決めた。

 首相は記者団に「引き続き強い地震の発生に注意し、津波が予想される地方では一刻も早い避難をお願いしたい」と述べた。地方自治体と連携した政府一体の対応や国民への的確な情報提供、住民避難など被害防止措置の徹底も政府内に指示したと説明した。官邸危機管理センターに対策室も設置した。

 林芳正官房長官は緊急の記者会見を開き「自治体と緊密に連携を図りながら、警察、消防、自衛隊、海上保安庁を中心に救命、救助活動を最優先に全力で取り組む」と強調した。

 石川県能登に大津波警報が発表されているとして「5メートル程度の津波が予想されている。一刻を争うので、直ちに高台や津波避難ビルなどの安全な場所に避難してください」と呼びかけた。志賀町の北陸電力志賀原発などには現時点で異常は確認されていないと説明。人的被害は確認中とした。

 防衛省は、石川県の馳浩知事からの要請を受け、自衛隊の災害派遣へ準備を進めている。木原稔防衛相は記者団に「陸海空の各自衛隊が緊密に連携し、人命救助を第一とした活動を実施することを指示した」と述べた。

 関係者によると、災害対応を担う村田隆内閣危機管理監は体調不良のため官邸に登庁しなかった。

2024年1月1日 17:26(1月1日 20:50更新)北海道新聞どうしん電子版より転載