【小樽】小樽市は14日、市中心部にある市保健所(富岡1)と市総合福祉センター(同)を、大型商業施設「ウイングベイ小樽」(築港)内に2025年4月にも移転させる方針を明らかにした。4階の空きスペース約1万平方メートルを市が借り上げる。

 同日の市議会予算特別委で説明した。保健所と関連が深い市役所内の部局についても移転を検討する。跡地利用は未定。

 保健所庁舎は1972年、隣接する総合福祉センターは70年完成で老朽化が進み、移転先を探していた。

 ウイングベイ内では、隣接地で病院を運営する北海道済生会(小樽)が通所介護や障害児支援施設を展開しているほか、JR小樽築港駅と直結しており、利便性が保てると判断した。上石明副市長は市議会で「行政機能を移転することで道済生会との連携を強化し、新たな投資を呼び込むきっかけにしたい」と述べた。

 ウイングベイは4階建て。1~3階は商業テナントで9割が埋まっているが、4階は8割が空いている。今回の移転で4階は7割が埋まり、空きスペースは3割に減る。(河田俊樹)

2023年12月14日 19:54(12月15日 14:39更新)北海道新聞どうしん電子版より転載

 

・OBCの経営改善へ 小樽市保健所などウイングベイ移転 看護学校断念で市が支援

小樽市が市保健所などのウイングベイ小樽(築港)4階への移転を表明したことで、同施設を運営する小樽ベイシティ開発(OBC、小樽)の経営は大きく改善する見通しとなった。想定していた看護学校の入居がなくなったことで、市はOBCへの支援を急ぐべきだと判断したとみられる。
■施設稼働率7割超に
 同施設の4階は2010年11月以降、ボウリング場と映画館を除き、シャッター街となっている。市は小樽築港駅に近い1番街の約1万平方メートルを借り、保健所と市福祉センター、さらに福祉関連の部署を移転させる方針。これにより、4階は全3万3600平方メートルの7割が埋まる。9割が埋まる1~3階と合わせて、施設稼働率は7割を超える。
 OBCは、2017年12月に2度目の民事再生法適用を申請。経営再建を目指しているが、売上高の2割に当たる年3億円余りの固定資産税が重荷で赤字が続いている。昨年11月には、総務省の通達を根拠に固定資産税の見直しを求めたが、小樽市は応じなかった。
 加えて、市が当初、4階の核テナントと想定していた正看護師養成学校は、学校を運営する医療法人とOBCの賃料などの交渉が不調に終わり、10月末、迫俊哉市長が会見で入居断念を表明。ウイングベイでは、市内外の約2千人が働いており、支援が急務だった。
 市の方針についてOBCの橋本茂樹社長は「施設の存続に向け大きな一歩だ。市の判断は、市民の方々にもいいことだと思う」と話した。OBCのスポンサーの中小企業ファンド「ルネッサンスキャピタル」(東京)は今後、新スポンサーを見つけ、支援を終了したい意向。今回の移転と収入増が、新スポンサーへの売却に向け、弾みとなる可能性が高い。(石垣総静)

2023年12月14日 21:47(12月14日 22:10更新)北海道新聞どうしん電子版より転載

小樽市保健所などが移転されるウイングベイ小樽