札幌市は本年度内にも、認知症の専門医療を提供する地域拠点「認知症疾患医療センター」に市内の複数の医療機関を初めて指定する方針を固めた。同センターは国と市から補助を受けて認知症の診断や治療を行うほか、介護関連施設と連携し、地域の実情に応じた医療、支援体制の構築を目指す。

 市によると、市内の認知症高齢者は10月1日現在、5万9859人。高齢化で認知症患者が増えると予想される中、患者や家族の不安軽減につなげる狙い。

 市はこれまで脳神経外科や精神科などのある市内の医療機関約160カ所で役割分担しながら認知症の医療を提供。ただ、他の政令指定都市全19市はすでにセンターを指定して医療機能の集中を進めている。札幌でも指定を求める声が患者などから上がっていた。

 同センターは国が2008年度に制度を始め、都道府県か政令指定都市が専門医の数など基準を満たした医療機関を指定する。国と市からの補助額は、年間計約360万円。診断後の生活に不安を抱える患者や家族の相談支援や、医療・介護関係者の研修も担う。

 道内の同センターは23年7月現在、24カ所。札幌市を含む2次医療圏には道が指定した医療機関が千歳市に1カ所、江別市に2カ所ある。(蒲生美緒)

2023年12月5日 05:00北海道新聞どうしん電子版より転載