児童虐待の現状や防止策などについて考える講演会が26日、旭川市民文化会館で開かれた。道教大教職大学院の木下俊吾特任教授(64)が講師を務め、「平時から子どもに関わる各機関が顔の見える関係性をつくり、すぐに連携できることが大切」などと呼びかけた。

 11月の児童虐待防止推進月間に合わせて市が主催し、教諭ら約50人が耳を傾けた。木下さんは、市内の小学校校長を退職後、同大で現役教諭の相談を受けたり、家族の世話をする子ども「ヤングケアラー」について研究したりしている。

 講演では虐待の防止策について、「日常の異変に気づくこと、異変を共有することをより意識する必要がある」と早期発見の大切さを指摘した。

 また、「生まれてこなきゃよかった」といった存在否定の言葉を受けることによって、「虐待被害者は脳や心に大きなダメージを与えられている」と説明。精神面や発達面での「学び直し」が必要になるケースが多いため、発覚後も福祉などとの連携が欠かせないと強調した。

 一方、ヤングケアラーについても紹介。「健康上の問題はないが学校の欠席が多い子ども」「毎日のようにスーパーで買い物をしていたり、家で洗濯物を干したりしている子ども」らを見かけた際は、関係機関に連絡して、家庭を尊重した上で対策を考えるべきだと語った。(後藤耕作)

児童虐待の現状や防止策などについて話す木下特任教授

2023年11月26日 22:24北海道新聞どうしん電子版より転載