北海道医療大は1974年に開学し、来年で50周年を迎えます。93年には、看護と福祉の実践者を養成するため、看護教育と福祉教育を融合させた看護福祉学部を開設。約5500人の卒業生を輩出してきました。

 学生たちは看護や福祉の知識と技術を習得し、その成果を卒業研究または卒業論文として提出します。しかし、卒業は学びの終着点ではありません。病院や施設に就職しても、キャリアの中で日々、学びを続けていくことになります。

 卒業生たちの学びの支援組織として、2003年に「北海道医療大学看護福祉学部学会」を設立しました。構成するのは卒業生のほか、在学中の大学院生や研究生、教員、元教員です。学術大会の開催や研究紀要の発行などによって学術的研さんや交流を図り、看護福祉における実践力の向上と学問の発展に寄与しています。

 今年は、9月9日に「ヒューマンケアのイノベーション」をテーマにした第19回学術大会を開催しました。「その人のいのちと暮らしの伴走者―看護と福祉のコラボレーション―」と題した記念講演では、本学の野川道子名誉教授が登壇。自身の看護師としてのキャリアや福祉系の大学での学び、両親をみとった経験から、「看護と福祉の協働」「家族にできること」「自身が心がけてきたこと」などを語りました。講演後のシンポジウムでは、訪問看護の会社や社会福祉法人を設立した卒業生らが意見交換しました。

 本学では医療と福祉を総合的に捉えた多職種連携教育を重視していますが、日々の暮らしにおいて、保健、医療、福祉に関するサービスが協働して提供されることが大切だと改めて実感しました。今後ますます必要とされる看護や福祉の道を目指す方が増えることを願っています。

2023年11月6日 05:00北海道新聞どうしん電子版より転載

自身の経験を基に講演する野川道子名誉教授