【和寒】町に必要な福祉施設・サービスのあり方を検討するため町民がまちづくりに対する希望や理想像を出し合う、第2回和寒町ふくしのまちづくり町民サミット(町主催)が14日、町公民館で開かれた。今回は「暮らしやすい地域をつくるための五つの柱」などの中間報告が行われた。

 老朽化した特別養護老人ホーム芳生苑の建て替えが課題となる中、新施設建設に向けた構想策定を町から委託された社会福祉法人ゆうゆう(石狩管内当別町)と、建築設計事務所teco(東京)が、6月の初回サミットやヒアリング調査から町民の意向を分析。これを基に検討中の構想内容について中間報告した。

 ゆうゆうの大原裕介理事長は「福祉を中核にして町全体のまちづくりを進めていくプロジェクト」と構想策定の趣旨を強調した。新施設の機能検討にあたっては「特養の整備や高齢者の暮らしを良くすることにとどまらず、あらゆる住民が暮らしやすい地域をつくるために五つの柱を掲げた」とした。住民ニーズや町の社会資源を踏まえ、《1》特養の充実《2》在宅支援《3》子供たちが大切にされる仕組み《4》雇用創出《5》農業・食文化を生かす取り組み―と五つの重点項目を説明した。

 このうち特養ホームの機能について、利用の前段階で転出する人が多いことや、2045年までの人口推計では65歳以上が減少傾向であるなど町の現状を分析。現在100床の規模を、利用者数に合わせた50床とし、みとり支援や魅力的なケア態勢を構築し、広域的に利用者を受け入れることが望ましいと提言した。

 このほかtecoを主宰する金野千恵さんが、建物や建設場所などの検討状況を説明。北大工学研究院の小篠隆生准教授が「共創のまちづくりの本質を考える」と題して講演し、砂川市などの事例を紹介した。

 続いて町民は8グループに分かれ、大原理事長から提示された重点項目の実現に向けたアイデアを話し合い、発表した。「子供たちが親とは違う大人と接することができる環境ができれば」「高齢者や障がいを持つ人を含め、役に立てることを知り、あらゆる住民が活躍できることが(雇用に)大事」「和寒の食を発信するためのレストランを併設する」との意見が出た。

 ゆうゆうとtecoの両者は、今回の議論などを踏まえ、構想「町ふくしのまちづくりプロジェクト」を年度内に町に提案する予定。(矢崎弘之)

2023年10月16日 19:55北海道新聞どうしん電子版より転載

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福祉施設やサービスについて意見を出し合ったまちづくり町民サミット