旭川医科大学が2日、開学50周年を記念した市民公開講座を旭川市大雪クリスタルホールで開いた。新薬開発や脳神経外科診療に携わる同大教授2人が講演し、約70人が最先端の研究・医療について学んだ。

 同大薬理学講座の中山恒教授は、がんの新薬開発について講演。がん細胞をとりまく環境は酸素の少ない「低酸素」の状況になっていると説明した上で「低酸素で働いている物質、因子を阻害し、がんをコントロールする新しい抗がん薬の開発につなげていきたい」と述べた。

 脳神経外科学講座の木下学教授は、脳科学の歴史や脳の機能などを紹介。実際の手術への実践では「患者さんが起きた(意識のある)状態で神経症状を調べながら、どこまで腫瘍を取れるか探り、手術している」と語った。

 参加した市内の末岡幸明さん(74)は「専門的で興味がわく内容だった。これからも研究などについて、より発信してほしい」と話していた。(桜井則彦)

2023年9月3日 21:02北海道新聞どうしん電子版より転載

開学50周年記念市民公開講座で講演する旭医大の中山恒教授(諸橋弘平撮影)